キムラヨウヘイ「有馬記念の有力馬診断の総まとめ(後編)」

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽キタサンブラック 牡5 武豊 57 栗東 清水久

まずは春シーズン最終戦の宝塚記念時の有力馬診断(抜粋)を参照↓
『もしも不安点があるとすれば…余力の面だけか。
これまではシーズン初戦は叩き台としてヌルい競馬ができていたが、本年から大阪杯のG1昇格によって春初戦から本気を出す必要があった。
実際にも、大阪杯前には坂路3本追いもクローズアップされていた様な熱のこもった調教が施されており、馬体的にも長距離仕様のスラッとした姿から過去最高馬体重の筋肉量増のスピードを追求した仕上がりだったなど。そして、2戦目天皇賞春では、大阪杯と毛色が違う舞台条件であるからに、そこでも大阪杯時とは異なる長距離仕様に作り変えて、レース本番ではレコード時計での一大パフォーマンス。
最近の感覚で言えば「宝塚記念はもういいよ」と言いたくなる様な、相当濃ゆい春2戦を消化してきている。』
・・・
ココも最たる争点は、余力の有無の一点になると思います。


・前々走秋天ではデムーロ騎乗サトノクラウンの決して諦めぬ迫り方によって、ラストまでビッシリと追いながらもラスト1F14.0というバテバテラップで凌ぐというレースでした。
サトノクラウンはキタサンブラックよりも虚弱な馬・レインボーラインは秋天で嵌まって激走した馬だけに同列には扱えないですが、その天皇賞秋激走2騎は次走JCで沈んでいるのもレースの過酷さの一つの証左になり得ます。


・前走ジャパンCは昨年以上に道中厳しいラップを刻んで、昨年以上にゴール前まで力を使い果たす競馬になりました。


少なくとも昨秋以上、そして今春と同等には余力を削られる2戦を経てのシーズン最終戦となります…また宝塚記念は中7週あるのに対してココは中3週というのも地味に大きいはずです。


正直蓋を開けて見ないと分からない要素でもありますが、安易な安パイ評価は決してできない場面と見ますが…。



―サトノクロニクル 牡3 戸崎 55 栗東 池江寿

前々走菊花賞は極悪馬場で何もできず…何もせずの敗戦。
3走前セントライト記念は直線追い風での極端な上がり勝負になったのと、尚且つ極端内枠を引いて詰まる所もあった分でパフォーマンスを下げての3着だった。
前走チャレンジCはデムーロJの騎乗2戦目で、セントライト記念の反省踏まえての積極的な競馬…やはり加速ラップ部分では劣勢になりそうなシーンもあったが、そこは同じ過ちは2度しないデムーロJの流石の手綱捌きによって、上手く使える脚の長さ勝負に持ち込めた分で勝負アリとなった。


どの騎手が騎乗してもテン乗り時には失敗するケースが多い…特に今回は好走するには一工夫も二工夫も要るだろう内回り舞台条件…テン乗りで尚且つ最近明らかに不調でミス騎乗を連発している戸崎Jではその期待は薄いと言わざるを得ない。


―ブレスジャーニー 牡3 柴田善 55 栗東 佐々晶

コノ馬は3歳春に骨折発覚してシーズンを棒に振ったワケだが、そもそも骨折発覚前段階から馬体面の弱さから順調な調整過程を踏めていなかった経緯もあった…その弱さというのは馬体の右半身の方にあって、故に左回りオンリー起用=右回り難は予ねてから懸念される点であった。


前々走菊花賞は極悪馬場でまともに競馬をしていないので、実質的に前走チャレンジCが初めての右回りレースでした…そこでは終始右手前の走りで、やはり右回り(小回り)には大いに難があったという内容に。
それにも関わらずの僅差3着というのは想像以上の結果で能力評価はしたいですが、引き続き右回り小回り条件でテン乗りとなれば難しい競馬になりそうでこの条件では狙えません。


★ミッキークイーン 牝5 浜中 55 栗東 池江寿

前走エリ女は渋化馬場時を含めて近年最遅ペースでの完全前残り展開…それを唯一後方から追い込んで好走という誰が見ても強い競馬をしたのがミッキークイーン。ただ、コノ馬は特に休み明け初戦だと鈍い面を出す馬で、この差し遅れの形は必然だとも言えるのですが(前回休み明け初戦阪神牝馬Sは重馬場且つ外差し馬場が相当向いた勝ち切りだった)。
逆に言えば、如何にもな休み明け初戦なりの仕上がりでの休み明け初戦らしいレース振りでしたので、予定通りのローテでの2戦目となれば叩き良化型でもあるだけに当然前進パフォーマンスを望んで良いはず。


有馬記念では昨年5着力負けしているだけに地力で好勝負に持ち込むのはやや難しいとも思えるのだが…宝塚記念で◎を打った当時と同じ構図(激闘王道路線(春で言えば春天ルート=秋で言えば秋天JCルート)激走好走馬が息切れ失速して、余力有りローテ馬が浮上という決着)と見れば、休み明け初戦のエリ女で終いだけの競馬してからの余裕ローテというのは最も優位な立ち位置になってくるかも…現時点ではコレが有力な予想結論の一つです。



★ヤマカツエース 牡5 池添 57 栗東 池添兼

コノ馬は16年有馬記念レース後の17年有馬記念の穴◎予告馬でした
それには2つの意味があって「◎馬」であり「穴馬」であるというコト…つまりは有馬記念の前哨戦段階では結果を残し切れず、非上位人気での出走になるだろうとの読みの上です(本当にそうなりました)。


昨年有馬記念ではもし内を上手く捌けていれば3着まで肉薄できただろうラストの脚色で良く詰めてきた内容…最終コーナーでは内を突けずに外を回って、そこから内に切り返したロスが少し残念でした。
そういうインで脚を溜めて一瞬の脚で差してくる形はかなり合う印象で、なので近3年連続でスローになっている有馬記念ならば…内枠からのイン差しで嵌まるか嵌まらないかのギリギリの走りをしてくれるイメージです。


天皇賞秋は極悪馬場で展開的にも馬場バイアス的にも不利な方の競馬でしたので情状酌量できる大敗、ジャパンCは適正オーバーの大箱二四を思えばギリギリ情状酌量できる凡走結果でした。
正直ジャパンCのパフォーマンスでは足りないと言わざるを得ないのですが、実は天皇賞秋後には「ジャパンC回避=有馬記念直行」も視野に入っていた馬でした…つまりは有馬記念で穴で重視すべきポイントであるココ大目標という馬であります。
昨年同様に得意季節の得意舞台条件で、大目標レースでの本気度と状態面で強調できて、更には得意内枠競馬ならば…そこまで条件揃ってくれればですが複大穴候補の一頭と見ています。 


△シャケトラ 牡4 福永 57 栗東 角居

もう一頭、有馬記念が大目標だっただろう馬として一応見限れないのがコノ馬です。


天皇賞秋後には以下の通り次走チェック馬としました
『秋天当日後半の東京芝のレースは大外を回された馬の異常にバテが激しくて、秋天の決着が典型的だった通り比較内を通った馬の方が雪崩れ込みが叶うバイアスだった(逆に外枠外目競馬で好走圏内に留まったのは1人気級馬のみだった)。
秋天で最内競馬しただけでそれなりの着順に至れたという7着ディサイファよりも走れなかった8着以下馬は、ほぼ全てが強烈バイアスによる逆噴射結果だと見て良いと思います…その中でも最も苦しい競馬をしての大敗だったコノ馬は特に見直せる一頭だと見ます。
具体的には不利且つ逆バイアス大の大外枠から無駄に積極的な立ち回りでは秒単位での敗戦も致し方無いモノと思えますし、また今の時代では秋天というのはJC・有馬記念の叩き台的なレースなので…その観点からも最もJC・有馬記念に目を向けていたコノ馬の変わり身はあって然るべきと見ます。』


その次走のジャパンCでは先物買いは承知で狙ったのですが、色々と問題あったとしても力負けは認めなければならないという11着でした。
その時に一番残念だったのは天皇賞秋で豚化していた馬体重がマイナス2キロまでしか落ちていなかった点…フォトパドックや調教後馬体重の限りでは馬体重二桁減まで計算していましたので。


結局、この寒い季節に絞り切れないというのは昨秋のシュヴァルグランを見ているかの様で…大目標だったであろう有馬記念で一気にスリム化しての出走が叶うならば騙されたつもりで再度印を打ちたいですが、現状では期待薄というのと4歳秋段階ではまだ完成しない馬としてまだ暖かく見守るべき馬なのかとも思っています。