キムラヨウヘイ ジャパンカップの有力馬診断

※印は[★激走候補~△有力~▽軽視~―無印」を表します

△アーモンドアイ 牝5 ルメール 55 国枝(美浦)
前走天皇賞秋は出遅れた2着3着よりも勝ち馬アーモンドアイの競馬がやや地味だったかも知れませんが、国枝調教師の『競馬というのは前に目標を置いた方が頑張れるもので、今日はアーモンドがその役割に回った分追い込まれてしまったものの、そこを凌ぎ切ったというのはやはり力があるからこそだと思います』というコメントの通りで、ラストの脚色を見ても、もしも後続の追い上げがあったとしてもその分だけ自身もより高いパフォーマンスを出し得る余地はあったはずです。
その天皇賞秋で完全燃焼競馬をした後の中3週ローテと距離延長二四は課題で、前者は実際に春安田記念では超絶パフォーマンス後の連戦が堪えた履歴が、後者はかつて当レースで世界レコード勝利した当時よりもタフな馬場設定となっている今の馬場ならば距離適性的にもギリギリだろうと見るのが妥当で…。


★コントレイル 牡3 福永 55 矢作(栗東)
ダービーで2着馬に0.5秒差以上付けたのは21世紀でウオッカとディープインパクトとコントレイルだけ。
直線では他馬が必死に追う中でもコントレイルは余裕の手応えで、唯一のライバルのサリオスが迫ってきたからやっとムチも入れて追い出して本気の走り。それでいて最後まで全くバテずに走れていますので、相当余裕を持っての勝利だったと言えます。
前走菊花賞は辛勝でしたが、ウチは◎アリストテレスだった通り相手も既存勢力を凌駕する実力馬だったというのが真相で…それに丸々マークされる形で馬場バイアス的にも精神的にも厳しい競馬を強いられながらも勝ち切ったのは十分褒め称えられるべきパフォーマンスでした。
異例の菊花賞馬のJC参戦ですが、その疲労面の問題さえ出なければ当然有力で(アーモンドアイとコントレイルはブラックボックスの疲労問題の懸念がゼロではないという点は、馬券的には重視したいポイントに)。


―ウェイトゥパリス 牡7 Mデムー 57 マルチア(仏国)
ジャパンカップの大まかな傾向としては、レース創設された1981年から1997年までは海外馬優勢傾向、1998年から2008年までは日本牡馬優勢傾向、そして2009年からは日本牝馬優勢傾向。
サンクルー大賞コロナ禍で14日間の隔離などの制約も受けつつも参戦してきたのは本気度…ではなく出走奨励金目的と見るのが妥当だろう。
サンクルー大賞勝ち馬としてJC制覇ならば300万ドル、着外でも20万ドルのボーナスが確定している立場で…。


△カレンブーケドール 牝4 津村 55 国枝(美浦)
国枝厩舎の勝負調教はコース追いで、坂路調教時は難かしらのワケを抱えているケースがメイン。
カレンブーケドールも、蹄不安なくウッドコースでバリバリやれている時にパフォーマンス高く、蹄不安も考慮して坂路コース(国枝厩舎の非勝負調教)で調教をせざるを得ない場合には昨年紫苑Sにしても昨年秋華賞にしてもパフォーマンスを落としているという結果になっています。
その後の昨年ジャパンCと今年京都記念はコース追いでしたが、前走オールカマーは再び1週前と最終追い切りが坂路追いというトーンダウン感ある調教過程でした。
だからと言って飛ぶというよりは、予想でも「何かに足を掬われる可能性の方が高い」と記した通りの評価でしたが、実際にも格下馬に先着を許すという結果で…その過程(ワケ有り坂路調教)についても、レース振り(掛かり早め先頭から差され)にしても、昨年紫苑Sで負けた時のデジャブ感満載だったという印象です。
その昨年もコース追いに切り替えられた3戦目ジャパンCで大幅にパフォーマンスを伸ばしましたが、それに準える今期も国枝師曰く「爪の方はもう大丈夫」とのコメントでコース追いに切り替えており…昨年JC同様の一変劇があっても驚けません。


▽キセキ 牡6 浜中 57 角居(栗東)
4走前天皇賞春では前で我慢できなくて暴走敗戦、3走前宝塚記念は出遅れ競馬も外有利馬場と後方有利展開となったことによって挽回できて(寧ろプラスに働いて)好走、2走前京都大賞典も外回し競馬が不利にならずに好走。
前走天皇賞秋は久しく常識的な競馬での善戦でしたが、引き続き自身の大トビ走法を生かせる東京コースは良いとしても、距離延長二四となってJCらしい緩いペースで我慢し続ける優等生競馬ができるのかは?


―クレッシェンドラヴ 牡6 内田博 57 林(美浦)
3走前中山金杯は出負け最後方追走が全ての敗戦で度外視可能ですが、出遅れた後も馬が全く前に取り付けなかった辺りはコノ馬の気性的な難しさ(弱点)も指摘しなければなりません。

2走前七夕賞では『元より怖がりな面もあってスムーズな形でないと力を出せなかった傾向もあった馬で、前走のポカが一過性だとは限らない点は注意が必要で…外枠なら押さえ以上の評価はしたいですが、内枠ならばその二の舞の懸念も』と指摘して、結果的にも『思った以上に前に行けませんでした』とのコトでその懸念は半分的中も、それでも大分バラける馬場だったので後半巻き返しが利いたという結果に。

前走オールカマーでは最内枠だった分で押して出して行っても包まれるポジショニングに。少頭数立てだった分でスムーズに外に持ち出しは叶いましたが、瞬発力勝負でも見劣った分で4着止まりに。

近走は気性が邪魔をして前付けできない競馬もあり得るのはマイナスポイントで、ここ2走はイレギュラー馬場や少頭数立てでそれなりに走れていますが、多頭数激戦と瞬発力要求馬場では厳しいか。


―ミッキースワロー 牡6 戸崎 57 菊沢(美浦)
揉まれ弱さあって外回し競馬が好走パターンになっているというタイプ。
3走前日経賞は外差し馬場で外回し競馬で好走、2走前天皇賞春は通常では同戦法は不利ですが今年は外有利馬場となった分で自ずと有利な走りができたのが主な好走要因。
前走オールカマーでは、そういう他馬を気にする面がある馬だけに内枠先行の形では他馬からのプレッシャーに抵抗できずに、コーナー入りでは3番手だったのが5番手に下げられてしまい、その分だけ揉まれ弱い所と折り合い面の難しさを露呈してしまうという鞍上の工夫が結果的に裏目に出てしまったのが全てでした。
あとは上のクレッシェンドラヴと以下同文で、東京多頭数激戦では難しい感は否めません。


回避サートゥルナーリア 牡4 池添 57 角居(栗東)
●主なシーザリオ産駒(全て関西入厩)の関西関東別の平地成績●
兄エピファネイア…関西[5-0-1-0]>関東[1-2-0-3]
兄リオンディーズ…関西[2-0-0-0]>関東[0-1-0-2]
姉シーリア…関西[2-2-2-4]>関東[0-0-0-2]
兄クローディオ…関西[0-1-7-20]>関東[0-0-0-2]
兄グローブシアター…関西[4-0-2-4]>関東[0-0-1-8]
サートゥルナーリア…関西[4-0-0-1]>関東[2-0-0-2]
・・・・・
サートゥルナーリア自身は東京競馬場に自体に難があるとされていましたが、そもそもこの血統は非常に気性的に難しい所があって、兄リオンディーズも結局関東では勝てませんでしたし、兄グローブシアターも関東輸送競馬だといつも凡走している様に、ハッキリと内弁慶傾向が指摘できます。
サートゥルナーリアが凡走を喫したダービー4着にしても天皇賞秋6着にしても、東京競馬場の地下馬道が主因説もありますが、長さの違いは別として他の競馬場でもそれはある話なので…それ以上に輸送の有無、関東輸送を挟まないコトのメリットは非常に大きく捉えられる馬だと見られます。
その鬼門の東京遠征競馬となる今回は全幅の信頼は置き辛いところで。


―パフォーマプロミス 牡8 岩田望 57 藤原英(栗東)
2走前鳴尾記念は開幕週阪神芝の馬場状態は内有利でしたが、アメリカズカップが外目で終始掛かっているなど先行馬にはやや厳しいペースとなりました。その結果としてシンガリ人気サイモンラムセスが最後方イン突き4着に象徴される通り、内で溜める競馬をしていた馬に有利だった形に。そこで最内枠から完璧な立ち回りで勝利したパフォーマプロミスについては、やや恵まれていた面も否めずで。
京都大賞典からの良馬場替わりと叩き2戦目の上積みは小さくないはずですが、このメンバーに入れば能力見劣る。


―マカヒキ 牡7 三浦 57 友道(栗東)


・・・
母父フレンチデピュティの血が出てきたのか、年齢を重ねてからは時計が掛かるレースでしか走っていないというか、実は高速馬場ではない馬場でのレースだけ切り抜けば昨年JC4着や昨年大阪杯4着などG1級でも悪くないレベルの走りを続けています。
もしも当日道悪競馬になれば一気に重い印候補に浮上しますが・・・。


▽ユーキャンスマイル 牡5 岩田康 57 友道(栗東)
前走アルゼンチン共和国杯週の馬場はやや外有利傾向で、そこでインを狙いたがりのユーキャンスマイル&岩田騎手のコンビで、例の如く直線インを狙う格好になった伸び切れずでした。それでさえ無ければ順当に好走圏内レベルでは走れていた可能性が高いですし、斤量58キロ背負いを踏まえれば何ら評価を下げる敗戦ではありません。
2走前天皇賞春・3走前阪神大賞典は不得手とする右回り戦での健闘で、左回りならばやはりG1でも好走できるレベルの馬と見られます。
ただし、昨年の秋天~JCでも馬券内まで一歩届いていない通り、豪華メンバーのトップ層にまともに走られればやや能力不足と見るべきでしょうが。


▽ワールドプレミア 牡4 武豊 57 友道(栗東)
前走好走した有馬記念は実質3歳馬有利戦。
有馬記念の頃になると、仮に世代レベルが「5歳世代>4歳世代>3歳世代」としても、そもそも12月末時点での成長曲線と斤量差的に「3歳世代>4歳世代>5歳世代」の順で活躍できるという土壌の方が主張される=結果に反映されるワケです。それは斤量差込みというのが一つのポイントで、端的に言えば有馬記念での3歳馬55キロ(古馬57キロ)というのは3歳馬をあまりに優遇する斤量設定です。なので、3歳時に有馬記念で活躍した馬でも、それから4歳春(大阪杯や天皇賞春では同斤量)までの短い期間で、斤量差2キロ分を埋める大きな成長をしなければ同等の活躍はできない=そこの壁を打ち破れない馬も少なからず出てきます(ex,サトノダイヤモンド・ブラストワンピース)。
ワールドプレミアにしてもこの約1年間のブラックボックスの中の成長力次第ですが、それは決して楽観視はできません。


※先週3日間開催のため、今週の「第二重賞の有力馬診断」はお休みとさせていただきます。ご了承ください。

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