キムラヨウヘイ スプリンターズSの有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

―アレスバローズ牡7菱田57角田(栗東)
コノ馬の大きなポイントは夏馬適性と折り合い次第面。
良績は暖かい季節に集中しており、本年も季節進行と共に戦績を上げてきた経緯となっています。
また折り合い面で言えば、4走前シルクロードSは大外枠競馬・3走前高松宮記念は道中接触事象で共に行きたがる所が出てしまったのが致命的に働いた分の敗戦でした。
今回は得意季節がやや過ぎ去っている点、そして折り合い面では近2走共にHペース内枠からの競馬ですので当時以上に好転とはなりませんので。
内枠有利バイアスを生かしての極端内枠イン突きが余程嵌まらぬ限りは厳しい。


―イベリス牝3浜中53角田(栗東)
―ファンタジスト牡3武豊55梅田智(栗東)
前走セントウルSは勝ち馬タワーオブロンドン1頭だけが強かったという一戦で、2着以下各馬のパフォーマンスについてはさほど評価できないとの見立て。
イベリスはマイル重賞勝ち馬、ファンタジストも中距離重賞連対馬…ファンタジストについては小倉2歳S勝利後に『1200を使うのは、これが最後になると思いますよ』とのコメントも出されていましたが、そういう半端スプリンターではい対応できないのが超前傾ラップスプリンターズSです(ペース・時計が速くなれば速くなる程に生粋スプリンターが浮上する傾向)。


―ノーワン牝3内田博53笹田(栗東)
―ハッピーアワー牡3横山典55武幸(栗東)
ノーワンはオーナーサイドの意向でデビュー当初から桜花賞大目標に育成されていた馬、ハッピーアワーも3歳春はマイル路線を歩んだ馬…この手の馬はまず超スプリント適性が問われるスプリンターズSでは追走から苦労するのが目に見えています。


―リナーテ牝5三浦55須貝尚(栗東)
前走キーンランドC時の札幌芝はやや外有利傾向で、特にそれが枠順にも大きく反映される距離千二戦では中外枠有利はハッキリとあったはず…結果的にはそれらに乗じるコトができた馬が上位4頭までを占める結果に。それに乗じて3着だったリナーテは過大評価禁物で、輸送競馬だと馬体減など起こす馬で北海道スプリント戦に照準合わせていた経緯からもスプリンターズSではどうだろうか。


―レッツゴードンキ牝7岩田康55梅田智(栗東)
https://twitter.com/jou_syou/status/1176427570427916294
後傾ラップのスプリンターズSで2着激走して、前傾ラップのスプリンターズSでは5着止まりだったという過去。
やはり非スプリント適性馬として、それでも乗り越えられるレース質の年は足りたが、そうでなければスピード対応できずだったとの解釈が妥当でしょう。
直近の好走歴も距離千四重賞で、7歳牝馬が今更距離千二超高速戦で新味を見せてくるとは?


△タワーオブロンドン牡4ルメール57藤沢和(美浦)
初スプリント挑戦の3走前函館SS3着後に『初距離千二で自ずと位置も落とす競馬で、斤量や展開を踏まえれば自身は十分に脚を使っていながらも物理的にこれが限界だったという3着止まり。適距離はともかく、斬れを磨いてG1好走から重賞勝利まで収めてきた経緯ある馬だけに、やはりどうしても前が止まらないレースも出てくる距離千二よりは距離千四以上の方が良いだろう。』と書きました。
その後のキーンランドカップでも同様に追走できないシーンもありましたが、スプリント戦を使う毎にスプリント資質・適性が開花して前走セントウルSの圧勝劇に繋がったと言うべきでしょうか。
ただし、その前走セントウルSでも一歩目については他専門スプリンターよりも遅れを取っており、道中も敵死に乗じてスルスルと取り付けたというのが半分あって、恐らく今回スプリンターズSでは道中二桁通過順位で直線を迎えるだろうと。
内枠先行馬と生粋スプリンターの土俵となる本年スプリンターズSに於いて、やや突貫スプリンターのタワーオブロンドンは地力でどこ迄迫れるだろうか…との評価です。


△セイウンコウセイ牡6幸57上原(美浦)
これまで逃げ競馬時には9戦8好走で、唯一凡走は外差し馬場で暴走逃げをした4走前シルクロードS。
2走前CBC賞ではその逃げの手を打つも、前半34.9-後半35.0のほぼイーブンペース競馬でその前の高松宮記念よりは幾分パフォーマンスを落としての3着止まりに…その“逃げ”というのと“Hペース”というのがコノ馬の本領発揮に繋がると解釈できます。
前走キーンランドCはそのHペース競馬でしたが、非逃げの競馬で、またコノ馬の戦績と直結傾向あるTMS×という中での敗戦でした。
今回スプリンターズSもHペース必至ですが、その中で逃げられる可能性は決して高くなく(枠順並び次第)…あとはもう一つの大きな手掛かりであるTMS情報上昇があれば一考したい。
とにかく内枠先行馬が有利なレースなので、その立場を独占できるような枠順ならば一気に評価を上げられる余地も。


―ダイメイプリンセス牝6秋山55森田(栗東)
まずは前走セントウルS後の回顧文を参照↓
『ダイメイプリンセスは夏馬であると共にスパイラルカーブの小倉巧者であるとも見方もすべきかも知れません。追走でモタつく所もある馬だけに、中央場ではこの先も届き辛いかと。』
・・・
今回は生粋夏馬として得意季節の終わりかけ局面、そしてどうしても置かれるだろう中山コースで届かせるのは至難だろうと見ます。


★ダノンスマッシュ牡4川田57安田隆(栗東)
3走前シルクロードSの他上位勢は外枠からスムーズな競馬をできた馬ばかり…その中で馬場バイアス的に有利ではなかった最内枠から、直線でスムーズにならない所もありながらも一瞬の脚を使って且つ余力の脚十分で勝利したダノンスマッシュは正に力の違いの競馬でした。
2走前高松宮記念では不得手左回りの分もあって、チグハグなレース振りでの4着…一気に戴冠とはなりませんでしたが、それでも十分に当路線での力を示した形ではありました。
前走キーンランドCはより嵌まる競馬だったタワーオブロンドン・リナーテを最後まで寄せ付けずの勝利は力の違いだと言って良いはず。
左回り高松宮記念を除けばワンサイドゲームの連続で、やはり右回りでさえあれば路線最上級馬に位置づけられる馬です。


▽ミスターメロディ牡4福永57藤原英(栗東)
まずは前走キーンランドC時の有力馬診断を参照↓
『高松宮記念は自滅馬多数で、それ以外にも詰まり馬と外ロス馬多数で、結果的には内に拘って何ら文句無い競馬ができたという馬のワンツースリー…G1好走の価値はさほどで次走以降も盤石を形成できるかと言えば怪しいです。
また藤原英厩舎らしいG1本番仕上げと左回り替わりが功を奏しての激走だっただけに、前哨戦且つ右回り戻りとなるココでは激走までは無いだろうと読めます。』
・・・
前走セントウルSの主な敗因は上記の通りで、本番スプリンターズSも右回りという点では前進見込み辛いのですが、右回りでもラチ沿いの競馬ならば大分マシになるはずで…極端内枠ならば一応変わり身を検討したい一頭になります。
ただ、福永騎手も「1200メートル寄りの1400メートルというイメージです」とコメントしていますが、そういう意味では回りの面でも距離適性の面でも高松宮記念以上にスプリンターズSで走れるコトはないだろうとも。


▽ディアンドル牝3藤岡佑53奥村豊(栗東)
前走北九州記念は軒並み外枠勢決着でした。この小倉芝千二コースは少しでも馬場が外有利に傾くと、直線のコース取りよりも枠順の内外にバイアスが如実に表れる傾向があります。そこで内枠から唯一の上位入線馬ディアンドルは額面以上の評価が必要なレース振りだったと言えるはずです。

コノ馬はこれまで千二特化のキャリアですが、その中でも実は高速時計で走った経験はなく、体型的にも実は距離千四以上でも走れそうなタイプに思える点で…本当に本当に生粋スプリンターであるのかについては必ずしもではないというのは主観としてあります。

あとはコノ馬は内の馬を気にする面があって、2走前まではスンナリ先行競馬ばかり、前走北九州記念は内枠好位競馬でしたが外有利馬場のせいで内が常にフリースペースでの競馬でした。それでも直線に向く所では内の馬に過敏反応するトコロも見せていました。まともに揉まれる形になってどうかという未知数な面もあります。


1着馬3着馬よりもコチラの方がスプリンターズSでも通用してきそうです。そして馬体重大幅増で粘り切れなかったモズスーパーフレアも本番巻き返しの資格有の一頭でしょう。春は連戦ローテで沈没しただけに、前哨戦でそこまで力を出させない意図もあった仕上げなのかも知れませんが、ここで勝ち負けを演じるよりは余力残し4着の方が本番への期待値も確率も上がるはずです。


★モズスーパーフレア牝4松若55音無(栗東)
前走北九州記念は、展開不利とバイアス不利、それに加えて馬体重大幅増で粘り切れなかった形で…普通に本番巻き返しの資格有と言える負け方でした。
春は連戦ローテで沈没しただけに、前哨戦でそこまで力を出させない意図もあった仕上げなのかも知れませんが、そこで勝ち負けを演じるよりは余力残し4着の方が本番への期待値も確率も上がるはずです。

3走前オーシャンS&4走前カーバンクルSでは、0.1秒差が定位置(相手ナリに走れる)ナックビーナスに対して、2走続けて0.2秒差を付けたモズスーパーフレアは…これはナックビーナスの全力よりも上に立つ馬だとの解釈もできますので、能力的には相当な評価をしなければなりません。

2走前高松宮記念は連戦疲労によるノーカウント凡走。

内枠先行馬有利&生粋スプリンターの土俵となる本年スプリンターズSに狙い澄ました前哨戦チョイ負けローテで挑むコノ馬は当然激走候補視。

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