キムラヨウヘイ ダービーの有力馬診断の総まとめ(前編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽サンリヴァル 牡3 藤岡佑→浜中 57 栗東 藤岡健
まずは前走皐月賞時の週中見解を参照↓
『昨年世代の善戦キャラ・ダンビュライト(きさらぎ賞3着→弥生賞3着→皐月賞3着)の再現を期待したいのが、それと同じ父の子であるサンリヴァルです。
コノ馬の前々走はHペース積極策で健闘と言える結果で、そして前走ではSペース積極策で善戦止まりと言える結果でした。
着順は同じでも前者の方が濃いパフォーマンスだったというのは、つまりは前者の方が持ち味を出せる馬なのだと考えられます。
それはダンビュライトと被るイメージで、そのダンビュライトも同様にペースに恵まれても恵まれなくても-相手関係に恵まれても恵まれなくても常に同じ様な着順で走り続けた馬でした。
確かに前走でも好走できなかったのならばG1では足りないと見るべきなのですが、ダンビュライト同様に厳しい展開・厳しい相手関係でもパフォーマンスを上げて&着順を下げないイメージは持てます…つまりは人気より十分上の着順に入線できそうな複穴候補の一頭と見たいです。』
・・・
結果的にもポスト・ダンビュライトとも言うべき皐月賞以前の相手ナリ戦績から皐月賞激走戦績を残しました。

じゃあ皐月賞2着馬として満を持してG1獲り=ダービー獲りが狙えるかと言えば、そこでもまたダンビュライトの先例が役に立つでしょう…つまりは皐月賞で一番強い競馬をしたと言われながらも、ダービーでは着順もパフォーマンスも落としたその先例です。

そもそも低速皐月賞・皐月賞先行好走馬というのはダービーに直結しないレース・好走タイプになります…それとポスト・ダンビュライトキャラを踏まえればダービーは戦績凹む場面だと読めます。


▽エポカドーロ 牡3 戸崎 57 栗東 藤原英
前々走スプリングS後に『想像以上にコントロール面でケチ付かぬレース振り…それ以前の問題としてレースが厳しくなるコト必至の次走皐月賞ではどうかとしても、このレースコントロールの優秀さはその先に於いても大きな武器になるコト必至』と書きましたが、前走皐月賞では正にそれが勝因の大きなトコロを占めたというレース振りでの激走でした。

オーバーペースから離れた4番手で後続を抑えつけるというのは明らかに有利なレース振りでしたが、それは戸崎Jのペース判断の良さというよりもただただ無難さが生んだ偶然の産物という側面もあるでしょうし、エポカドーロ自身がそういう自在な競馬を難なくできてしまうタイプだったのが大きいです。

今回ダービーの東京コースではそのアドバンテージは薄れるのと、距離適性的にもこれ以上距離が延びてどうかですし、またサンリヴァル欄の通りダービーにはつながらない皐月賞激走内容だったのは確かですので。


★ジェネラーレウーノ 牡3 田辺 57 美南 矢野英
前走皐月賞は何が何でも逃げたい内アイトーンと鉄砲玉の外ジュンヴァルロに挟まれるポジショニングで相当厳しい競馬を強いられました…それはペースを見れば明らかですが、ただしそこで引かないで馬のリズムを重視した騎乗をした田辺Jの判断は寧ろ良かったのかも知れません。

その皐月賞まで中山二千コースを3走連続出走…如何にも皐月賞に照準を合わせていたかのようなレース起用で…それが結実したのが皐月賞激走結果の様に思えますし、また上記した通りでダービーに繋がる好走結果だとは到底言えません。

ただし、じゃあどれくらい弱い馬なのかと言えば…あのペースで3着に粘れるというのはもしかしたら相当強い馬にしかできないパフォーマンスだったのかも知れないとの見方もできます。

あとは皐月賞の◎推奨文を参照…底を見せていないという点でまだ今回も警戒したい一頭ではあります。

『前走も前々走も着差は僅かという辛勝でしたが、ただしコノ馬の場合にはどちらも真面目に走り切っていませんのでそれが能力の上限というコトではありません。
この一発ある血統背景で、前に行く馬を見て運べる好枠を引いて、当地で戦闘力高い鞍上も好感で、生産牧場など地味な出自ですが当初から評判高くて実はノーザンF育成馬(先週桜花賞1着アーモンドアイと同じくノーザンF天栄帰り初戦)というのも心強いポイントです。
初めて強い相手関係とぶつかる今回皐月賞…そこで秘めたる能力開放で相手ナリにパフォーマンスを上げて連続好走という線も十分アリと見て推奨します。』


―タイムフライヤー 牡3 内田博 57 栗東 松田国
一応GⅠ馬の肩書きの持ち主ですが、そのホープフルSが本当にGⅠとしての価値あるレースだったのかと言えば否としか。
そもそもホープフルSは忖度というか殆どお上の不正判定によってG1昇格したレースでして、昨年同レースに於いても前走初勝利馬が大量に出走してくる様なメンバーレベルもそうですし、例年の皐月賞と秒単位で異なる決着時計からも現代競馬で要求される方向性からは外れた異質レースでした。
だからこそGⅠ馬になれたと言えるのがタイムフライヤーです。

元から王道路線で通用するスピードや瞬発力があるかと言えば疑問大きくて、一度崩れた母系BT系馬という観点からも疑いの目は変えられない一頭です。


―オウケンムーン 牡3 北村宏 57 美北 国枝
近年地位向上目覚ましい共同通信杯の勝ち馬ですが、本年は重賞好走馬グレイル&G1好走馬ステイフーリッシュが共に自滅で、例年の様に重視できる前哨戦では決してありませんでした。

また、オウケンムーンのレース振りはというと、直線を向いた地点でも前に1頭・横に1頭に囲まれる形で過剰反応しており、結果的には横のトッカータの方が大きく横に逸れてくれた分で大きな進路が生まれたので息の長い末脚に至った経緯でした。
そもそもの能力に疑問が付く上、多頭数フルゲート激戦でもキチンと力を出し切れる様な器用さは窺えない点でもどうでしょうか。


▽キタノコマンドール 牡3 Mデムー 57 栗東 池江寿
▽グレイル 牡3 岩田 57 栗東 野中
▽ワグネリアン 牡3 福永 57 栗東 友道
△ステルヴィオ
先行有利ペースの皐月賞で、位置取りが後方だった分だけ届かないというレース振りだった馬達。

これを展開不利だからしょうがないと言うのは簡単ですが、じゃあ展開不利が無ければ確実に届いたのかと言えば結構怪しいです…エポカドーロは0.6秒も前に居ますし、ジェネラーレウーノも相当厳しいラップを刻んでいたワケですし、そもそも同じような後方競馬をして同じような入線順位に収まったのが4頭もというのも傑出能力馬不在を示す話でしょう。

キタノコマンドールは本気で皐月賞激走を目指した参戦というよりも、ダービー権利獲りに主眼を置かれた皐月賞参戦…それは馬体重二桁増にも表れていますし、デムーロJの十八番の皐月賞ミラクル騎乗とは真逆の消極騎乗がされたのもそういうコトでしょう。
まだ過剰人気は否めないですが、他の3頭は今回も後方競馬になりそうなのに対して、キタノコマンドールはデムーロJ継続騎乗ならば所謂ダービーポジションでの競馬になるはずで…デムーロJのG1ハンター振りの効力が最大限発揮されるのはテン乗り失敗後の2戦目でこそなので。

ワグネリアンは…スケール不足。前々走弥生賞後に福永Jは『スピードの乗りが遅かった。坂を上がってから伸びているんだけど。修正点が見付かった』などと反応の鈍さ・ズブさを愚痴っていますが、それを指摘される様になったディープ牡駒というは、マカヒキ然りサトノダイヤモンド然りもう曲がり角を迎えているという印象で…そうなった以上は一線級になれないor戻れない段階に…早くもそうなのではないかと。

ステルヴィオは小回りコース雨馬場ではやはり差し遅れてしまうタイプ…先週オークスでのアーモンドアイ勝利で同産駒で距離不安人気落ちは限定的となりそうですが、ウチでは一貫して大箱・距離延長はプラスとの見解です。


━━━(後編)へ続く。

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