キムラヨウヘイ ダービーの有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

~青葉賞組~
―エタリオウ 牡3 ボウマン 57 栗東 友道
まずは青葉賞のレベルについて…結果的には2人気オブセッションは喉の問題で結果的には走れる状態になかったという大敗で、3人気サトノソルタスはスプリングS回避-皐月賞回避というキナ臭い経緯あった馬で、4人気ダノンマジェスティはウチでは一貫して低評価している通りの兄アルアインの威光で実体以上の扱われ方をしているだけの馬で…それらが軒並み沈んだコトで決して層の厚いレースにはなりませんでした。

エタリオウは当時◎推奨した通りHレベル歴戦馬として高評価してきた馬ですが、それはあくまでも500万下での話で、そしてそれは重賞なら通用するだろうという話で…G1となればまた話は別です。

そのエタリオウと共に最高レベル500万下レースを作り上げてきたサトノワルキューレ・メイショウテッコンは、確かに重賞までででは大いに力を見せてくれましたが、結果的にはG1には壁を感じさせられる直近戦績になっています。
サトノワルキューレよりも少し強いエタリオウ…その比較ではG1ダービーでの高評価までは難しいです。


▽ゴーフォザサミット 牡3 蛯名 57 美北 藤沢和
3走前共同通信杯・2走前スプリングSではあまりに置かれる位置取りでの競馬に田辺Jに批判の矛先が向いたが、あれは田辺Jの意図ではなくあれがコノ馬のペースというコト…そういう追走力の部分で融通効かないのが本格化前のハーツクライ産駒の特徴の一つでもあります。

前走青葉賞ではその2走とは異なりスタート良好だったのと、前半1F13.2という近年稀な序盤の緩ラップが味方しての無理なく常識的な位置取りからの本領発揮だったとの側面もあるでしょう…
蛯名Jも「楽にあのポジションを取れたことが勝因」というのが第一声でした。

もしもスプリングS~青葉賞の間に馬が大きく成長していたとかなら話は別ですが、今回ダービーでもその青葉賞当時の正攻法競馬が叶うのかと言えば予断は許さないかなと。
スプリングS以前のレース振りこそコノ馬の本質と見るならば、青葉賞の様な正攻法競馬が叶うのか否かは“ペース”という他力本願な面も少なからずであるはずで…勝てる位置取りでの競馬にはならない可能性の方が高いと見ますが。


~京都新聞杯組~
▽ステイフーリッシュ 牡3 横山典 57 栗東 矢作
前々走共同通信杯は2人気10着大敗と派手にぶっ飛んだが、陣営内の認識としては気合入り過ぎた中谷Jの熱量に馬が付いて来られなかったという…中谷J付きっ切り調教過程が大幅馬体減を引き起こしてガス切れを起こしたという。

その反省を踏まえられた前走京都新聞杯に於いては、休み明け初戦にしては手控え気味に映る調教過程で、それで馬体回復で本領発揮に繋がった模様です。
問題としては今回ダービーはそこから僅か中2週の輸送競馬という点…その京都新聞杯も楽な競馬ではありませんでしたし、その京都新聞杯でもあくまでも馬体回復であって決して余裕ある仕上がりには映りませんでしたので…やはり状態面では予断許さないと見ます。

また、前走京都新聞杯の競馬は今回ダービーには少々直結しないです。
京都新聞杯はこういう持久力に優れた馬が活躍するのに対して、ダービーというのは(立ち回り戦という意味である程度の位置取りは前提として)瞬発力に優れた馬が活躍するレースです。

京都新聞杯を同じく先行好時計で捻じ伏せた馬としてトーセンホマレボシはダービーでも3着したじゃないかと思われるかも知れませんが、あれはダービーでもウィリアムズJ騎乗での一頭持続力勝負を仕掛けて、上がり36.1で粘り込んだという好走劇でした…つまりは異質であり例外であると。

これが確変中の藤岡佑介J継続騎乗ならば或いはでしたが、そうではない以上はトーセンホマレボシ再現というのは難しい話でしょう。

2歳時ホープフルSでも消耗戦ペースなのにジリ脚での3着好走というのがコノ馬の本質で、果たしてダービーペースでの上がり勝負でもどこまでやれるのかは結構疑問アリです。


―アドマイヤアルバ 牡3 丸山 57 栗東 須貝尚
京都新聞杯週(今開催前半)の京都芝は異様に差しが利く馬場バイアスで、この京都新聞杯でもまともにペースが流れましたので基本差し追い込み有利レースだったはずです。
その展開にも乗じて6着馬まで0.1秒差内という権利獲得2着をギリギリで確保した形のアドマイイヤアルバは能力面でポジティブな判定は下せません。


~別路線組~
★ブラストワンピース 牡3 池添 57 美南 大竹
皐月賞は昨今の主流G1レースとしては非常に珍しい非ノーザンF馬のワンツースリー(※ジェネラーレウーノは半ノーザンF馬)で…当時予想にて『見た目以上に中位混戦』と書きましたが、その通りだったからこそ・傑出馬不在だったからこその上記結果だったと見ます。

オークスは結果的には桜花賞組の上位独占となりましたが、是非ともMY馬柱を見返して頂きたいのですが、『桜花賞CD評価⇔他オークス前哨戦は全てDE評価』というレースレベルの面では桜花賞断然でしたので。

対してダービーのMY馬柱によると、コチラは見事にDばかり…皐月賞も京都新聞杯も青葉賞も毎日杯も主流ステップレースは全てDでレースレベル価値は拮抗しているとの評価です。
ただし、このレースレベルはレースの格に対しての値付けですので、G1皐月賞のDとG2青葉賞のDならば前者の方が上で、そりゃG1皐月賞が相手関係が一番揃っているのは当たり前も当たり前なのですが、ただしオークス路線と違って著しくではないというコトです。

結論としては大混戦であり、必ずしも皐月賞優勢ではなく別路線組の方に戴冠の座が簡単に渡っても驚けないという見立て…後者から最も際立つパフォーマンスを決めてココへと歩を進めるブラストワンピースへの期待はモチロン大きいです。
ただし、元から馬体重大きい馬で太く見せる馬なのですが、それにしても太目残りでの出走にならないかは少し注意したい1週前状況です。


―コズミックフォース 牡3 石橋脩 57 美北 国枝
上記でダービーまでのステップ重賞レースは殆どD評価ばかりとしましたが、その中で数少ないワンランク下のDEを付けているのが京成杯です。
1着ジェネラーレウーノが皐月賞で好走しているじゃないかと言われそうですが、あれは全く真面目に走らずの辛勝1着馬で、決して京成杯のレベル云々で捉えるべきではない…と皐月賞◎推奨時に述べました通りです。

そんな京成杯で展開向いて、そしてジェネラーレウーノが不真面目だから0.1秒差まで迫れたというのがコズミックフォースです。

前走プリンシパルSも、主な相手関係が同じく京成杯3着イェッツトだった時点でお察しのレースレベルの一戦で、そこで0.0秒差1着では結構物足りません。


★ダノンプレミアム 牡3 川田 57 栗東 中内田
そんなD評価ばかりの当世代牡馬重賞戦の中で数少ないCD評価を付けたレースは朝日杯FSです…NHKマイルC1着馬もそこから輩出されましたが、結局はそこでの高パフォーマンスこそが最も価値が高いのであると言えそうです。
その朝日杯FS激走馬であるダノンプレミアムは能力評価という点では盤石視です。



━━━(前編)はこちらに掲載しています。