キムラヨウヘイ ヴィクトリアマイルの有力馬診断の総まとめ(前編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽アエロリット 牝4 戸崎 55 美南 菊沢
前走中山記念の有力馬診断では『右回り小回り条件で難なく正攻法競馬をこなしての本領発揮が有り得るかと言えば現状未知であるとしか言えません』としましたが、誰も競りかけて来ない2番手競馬で我慢する形は作れましたが、ただしやはり右回り小回りには難があるようで完全に直線では加速遅れからギリギリでマルターズアポジーを捉えられたという結果でした。

今回は左回り大箱条件替わりというのはプラスですが、ただしそれ以上にこれまで全戦騎乗横山典Jの手綱が離れるというのが痛そうで。

昨夏クイーンS気ままHペース逃げ競馬をした影響なのかはさておき、気性面での危うさは相変わらず大きいのは間違いないですし、それでいて同型多数で非逃げ競馬濃厚の戸崎Jが難ない競馬を敢行できるのかと言えば…?
前々走秋華賞でも前走中山記念でも全戦騎乗横山典Jの手綱でも綱渡り状態の競馬で現に秋華賞では失敗に陥っている様な一筋縄ではいかない馬で、戸崎J云々は置いておいても誰が乗っても大変なのは間違いないかと。


▽エテルナミノル 牝5 四位 55 栗東 本田
前走阪神牝馬Sまでは「小回りコースでは7連続凡走で、逆に外回りコースでは好走激走連発」という…広いコースでのスンナリ競馬オンリー馬です。

前々走中山牝馬Sでは多頭数戦での最内枠という最悪の条件を引いて、それでいて出負け後方競馬から、道中は窮屈なポジショニングで位置取りを更に下げての直線進入で、もうそこからは間に合わないというのがコノ馬の特徴ですが追い打ちをかける様に直線窮屈になり四位Jも本気追いできずのワケ有り凡走結果でした。

前走阪神牝馬Sでは待望の外回りコース替わりでしたが、超スローペースを出遅れ最後方はノーチャンスの競馬…それでキチンと脚を使っての8着ならば力は見せたという結果でした。

今回も引き続き外回りコース戦ですが、ただしやはり距離千六というのは距離不足は否めずに、そして出遅れリスクやスンナリ競馬の可能性についても高いとは言えませんので。
もしも、それを補えるまともな道悪馬場条件となるならば、一転して大穴候補として見たいですが…。


★リスグラシュー 牝4 武豊 55 栗東 矢作
このヴィクトリアマイルに於いてはとても興味深いデータがありまして、それは近年では前走勝利馬はほぼほぼ全滅…1着はおろか3着にすらも全く入れないという。
それは半分以上は偶然の偏りですが、ただ牝馬戦だけあって前哨戦激走は消耗と言い換えられる側面も多少はあるでしょう。

その観点からもやはり買わねばならない前哨戦善戦止まりホースがリスグラシューで、前々走東新聞杯回顧では「仕上がり早」体質を指摘しましたが、その東京新聞杯は一戦のみローテだったのに対して前走阪神牝馬Sは前哨戦位置付けで、調教過程も一目瞭然で次に余力を残す過程になっていました。
それに対して今回VM調教過程では前走阪神牝馬S調教過程では見られなかった、そして前々走東京新聞杯調教過程を彷彿とさせる様な猛時計調教を課してきました…つまりは杓子定規に捉えれば2戦目上昇があって然るべきであると。

ただし、『ヴィクトリアマイルは近年では中距離適性馬のポカが目立っています。リスグラシューの場合にも生粋のマイラーというよりは中距離適性馬感ある馬ですから、これでヴィクトリアマイルに向けて死角無しと見てはならないと思います』と書いてきた通り、東京新聞杯も阪神牝馬Sもスローペースだからこそ脚が使えたという側面もあるはずで、それと大幅に異なるレース質も有り得るレース傾向のVMでも同じだけの脚を使えるかは絶対視はできないという点には少々死角アリです。


▽ミスパンテール 牝4 横山典 55 栗東 昆
リスグラシューとは対照的に、VMでは相性悪い前哨戦を獲りに行って獲ったパターンの馬。
これまでも気性面が最たる課題だったという馬で、故に本番を前にした一戦で逃げさせるというのは歓迎されない手だったと思いますが、それをやってしまうのが横山典Jという。

横山典Jだから何か秘策を抱えてのコトとも思いたくなるのですが、現にアエロリットでもクイーンS暴走逃げで秋華賞を台無しにした例もあるので…G1だから勝ちに行く-前哨戦だから勝ちに行かないとの一般論には与しない思考なのかも知れません。
その阪神牝馬S勝利後に厩舎関係者は渋い顔をしていた様ですし、前走再現は不可の一戦を逃げさせた後で迎えるというのは常識的には難しい局面・期待値低い局面です。


▽レッツゴードンキ 牝6 岩田 55 栗東 梅田智
今となってはコノ馬の主軸はスプリント路線…そちらの適鞍が無い時だけマイル路線にスポット参戦してくるという起用法。
本質的にスプリンターなのかはさておき、本気でスプリントG1獲りを目指されている流れで、気性的にはよりスプリンター化している印象です。
それが顕在化したのが昨年VMで、その前後では6走連続好走という絶頂期にもかかわらず、そこでは折り合い難自滅大敗を喫しました。
距離マイルでも折り合いさえという馬なのですが、今期にしても香港スプリントG1遠征や京王杯スプリングカップ参戦など様々な選択肢が挙げられた上でのヴィクトリアマイルリベンジ決定でした…これが当初から[高松宮記念→ヴィクトリアマイル]ならば早い段階からマイル適用調整がされたでしょうが、そうではないプラン無き突発マイル挑戦での突貫マイル仕様では果たして大丈夫なのかとの不安の方が大きいです。



━━━ (後編) へ続く。

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