キムラヨウヘイ ヴィクトリアマイルの有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

―アルーシャ牝5北村宏55藤沢和(美浦)
コノ馬のポイントは折り合い難と、藤沢和雄厩舎らしい道悪下手。
後者についてはこれまで散々取り上げてきましたが…藤沢和厩舎は馬を痛めつけないゆとり調教方針で、それによりエリートタイプの馬が出来上がるというイメージが言えます。それらは馬にとって優しい、走りやすい馬場条件では強いのですが、馬場悪化時など過酷な状況に置かれた時に、パフォーマンスを極端に落とす馬が非常に多いというワケです。実際のデータ的にも、同厩舎は芝重不良では10年から19年まで重賞30戦0連対(単複回収率6%)、平場でも芝不良では37戦4好走(単複回収率12%)という散々なデータが残っています。

前走京都牝馬Sは初の重馬場に全く対応できずに大敗、2走前ニューイヤーSも渋化馬場と距離延長大外枠競馬で折り合いを欠いての3着。3走前信越Sは良馬場の内枠競馬で1着。
良馬場替わりと内枠替わりというのはコノ馬の走り時となりますが、ただしさすがにG1級で足りるレベルの馬かと言えば?


〇アーモンドアイ牝5ルメール55国枝(美浦)
前回のマイル挑戦の昨年安田記念は断然人気を裏切る3着止まり。
ただし、その日の馬場は内有利傾向で、そしてペースはアエロリットのポジショニングがベストでそれ以降の各馬は必要以上に追走していない競馬…アーモンドアイはもし仮にまともなスタートならばキチンと追走した可能性もありますが、それをスタート後のアクシデントで砕かれてノーチャンスと言っても良い位置取りからの競馬を強いられました。それでいて3着まで追い込んできたのは抜けた能力以外の何物でもありません(極めて稀なレベルの不利を受けての3着で、普通であれば勝っていた競馬だった)。

前走有馬記念はハイラップ消耗戦ペースをまともに掛かって道中に脚を使ってしまった分の敗戦で、それでも直線地点では勝ち負けできそうな手応えある進出だった点からも負けて強しと言える負け方だったと見ます。
そもそも何故ああいうチグハグなレース振りに陥ってしまったのかは別の検証が必要ですが、幸いにして今回は折り合い不安を出すとは考え辛い距離短縮マイル戦で。

あとはドバイ遠征前には例の蹄不安の兆候も見せていた様なので、最終追い切りも本来のウッドコースでこなしてくれば絶対的な能力を信頼する方向で。


★コントラチェック牝4武豊55藤沢和(美浦)
まずは2走前ターコイズS時の有力馬診断見解を参照↓
『前走秋華賞では懸念した雨(藤沢和雄厩舎がカラッキシな芝重不良条件)は想定よりも乾いて致命的ではなかったはずですが、それよりもビーチサンバが謎に主張する競馬をしてきた分でハナを奪えなかったのが最大の敗因。
これまで逃げなら3戦3勝、逃げ以外なら3戦3敗…どうしても逃げでないと落ち着いて走れない面があって、その秋華賞では更にオーバーペースとタフ馬場の二重苦もあっては大敗も致し方なし。
この手の馬は逃げならば全然違う結果も有り得ますが、馬優先主義の藤沢和雄師は「逃げなくても好位で大丈夫」とコメントしていたように、逃げ馬を作るのは好まぬ厩舎だけに…。』
・・・
その2走前ターコイズSでは、まず良馬場替わりであったのと、ルメール騎手が出負けしつつも&ペースが速いとしても、上記の通り唯一の本領発揮手段の逃げの手に拘ったのが何よりの勝因。
前走中山牝馬Sではまた雨馬場替わりのマイナスがあったのと、前に行けない競馬で最後は投げ出す格好での大敗。
これまで「良馬場では5戦4勝⇔雨馬場では4戦0勝」「逃げなら4戦4勝⇔非逃げなら5戦0勝」というのがコノ馬の最大ポイントで…それが共に前者が見込めるというならば一変も視野に入ります。


△サウンドキアラ牝5松山55安達(栗東)
コノ馬の特徴としては、京都(平坦)しか走らないのと、ソラを遣う癖から中々勝ち切れないという2点が主としてありました。
つい4走前リゲルSでは、正に急坂コースでソラを遣ってる隙に差されての3着だったワケです。
それが3走前京都金杯ではソラ癖をクリアして、前走阪神牝馬Sでは急坂をクリアして…常にフルスロットルの走りを見せられるようになったのが今のサウンドキアラです。
ココは主流路線馬との力関係的には楽な戦いにはならないはずですが、また内枠を引いて器用なレース振りができれば(それを生かせるレースとなれば)好勝負圏内も可能な一頭と見ます。


―サトノガーネット牝5吉田豊55矢作(栗東)
3走前日経新春杯の日の馬場は内有利傾向で、またペースも緩みましたのでコノ馬の外追い込み競馬では物理的に難しい状況でした…それでの6着ならば十分見直せる結果です。
2走前金鯱賞もスローペース前残り展開で最後方追走では何もできずも止む無しと言える結果です。
つい4走前中日新聞杯では重賞激走した通り、まともなレースができれば見直せる存在ですが…その前にしても距離千八にも苦しんで敗戦を喫している通り、距離二千未満ではどうあがいても速力不足感は否めずで。


―セラピア牝4田辺55藤岡健(栗東)
オルフェーヴル産駒の気性難馬。
これまでは逃げてもダートでも距離短縮でも常に折り合い面での不安を見せている馬。そして過去に唯一大きく崩れたのが東京遠征だったデビュー2戦目のフローラS1人14着でした。
素質は高そうな一頭ですが、いきなり関東圏G1挑戦となると乗り越えるべき壁は少なからずあるだけに…。


―ダノンファンタジー牝4川田55中内田(栗東)


前走阪神牝馬S後に川田騎手は「次はもう一つ良くなってくれると思う」と叩き良化を予告していましたが、昨秋ローズS後にも同様の趣旨のコメントを出しいて結果秋華賞では上昇を示せずの前例があります(川田騎手は大体いつもこんなコメントをします)。前走阪神牝馬S敗戦は前哨戦だから仕上げていないから無問題というよりは、やはり成長力の欠如の方を重く取りたいです。


△トロワゼトワル牝5三浦55安田隆(栗東)
3走前京成杯AHでは世界レコードでの完勝劇。
その後の2走はビリ負けとブービー負けで全く走れていないが、共に寒い季節となり調教でも併走遅れで本調子になかったのが全てだろう。
今回はコースは違えど1週前追い切りでは本来の先着調教となっているだけに、本調子を取り戻してつい3走前だけ走れば通用という可能性は拾いたいトコロ。


―ビーチサンバ牝4福永55友道(栗東)
前走阪神牝馬Sでは世間では積極策を期待されて人気していましたが、当時予想見解で『~積極策で好走した昨秋ローズSにしてもスタートは決して早くないところから少頭数大外枠を利して前に行けたモノであって、前走京都牝馬Sの出遅れ最後方競馬が距離延長によって劇的に変えられるかは微妙な部分があります』としました通り、今となっては距離マイルも距離不足感あり速力不足の結果だったと解釈できます。
ヴィクトリアマイルというレースは平均ペース以上で流れるとそれに難なく追走できるスピードある馬に分があるレースだけに、それから適性がズレ始めているビーチサンバにはそそられない。
そもそもクロフネ産駒(牝駒)は前哨戦・トライアルレースでよく来る血統で、実際にコノ馬も前哨戦から本番レースでパフォを大きく伸ばしたことはないだけに一変も見込み薄。


△ノームコア牝5横山典55萩原(美浦)
妹のクロノジェネシス同様に間隔を空けたタイミングでパフォーマンスを伸ばしてきている馬です。
前走高松宮記念は休み明けローテでも血統的に適性外の距離スプリント挑戦が全ての敗戦と見て良いでしょう。
そこから間隔が詰まって中6週というのはコノ馬が走れてきた間隔ではありませんし、ただし前走高松宮記念は最後流して次に余力を残す競馬だったとすれば例外として見る手も可能で悩ましい所です。


▽ラヴズオンリーユー牝4Mデムー55矢作(栗東)
前走エリ女回顧では『~1週前に追い切りに騎乗したデムーロ騎手はその手応えの悪さに顔を曇らせていたとの話でした。その後に陣営からも怒られていたようですが、それだけ1週前で追わねばならない状況こそ、仕上がりの悪さの証左です。エリ女の戦前から次走JCor香港を匂わせていたのはラヴズオンリーユー陣営だけで、レース数をこなす矢作厩舎としてはまだ先に本番がある中での始動戦としての位置付けもあったのでしょう…次走香港こそ調整が順調に進めばもっとやれるはずです。』と記しました。
今回も中間ドタバタあった中で大きく間隔空いての復帰戦で、どれだけ走れる体制にあるかが全てでしょう…1週前追い切りは失敗して日曜日に追試をされていましたが、あとは最終追い切りに注目して取捨を決めたいところ。


―シゲルピンクダイヤ牝4和田竜55渡辺(栗東)
2走前京都牝馬Sでは中団からの競馬で気難しさを見せて、直線ではスムーズに捌けずのノーカウント級の敗戦でしたが…ただし前走阪神牝馬Sの何もできずのレース振りを見る限りだと牝馬らしい気難しさが顕在化してきた感が強いです。
3歳時にも初東京遠征のオークスでぶっ飛んだように輸送競馬にも難が付くタイプだけに、ここでいきなり良化してくるとは?


▽シャドウディーヴァ牝4池添55斎藤誠(美浦)
▽プリモシーン牝5レーン55木村(美浦)
東京新聞杯の1着馬&2着馬。
その当日の東京芝はやや内有利傾向で、プリモシーンは最内枠から道中は内を追走して直線では嫌気を差さぬ様に外に持ち出す形での激走、シャドウディーバは後方で内に進路を取って内を突く形で共に恵まれた感はありました。

プリモシーンは入念な調整過程が本領発揮に結びついた経緯もありましたが、その後に疲れが出た臨戦過程だった前走ダービー卿CTでは結果を出せず、そこから再びローテありきの出走過程となっているココも本調子で挑めるかは懐疑的で。
また、「ディープ産駒は日本人騎手」「ハーツ産駒は外国人騎手(短期免許騎手)」の通り、コノ馬は短期免許騎手では2度とも失敗しているだけにディープ△レーン騎手騎乗もプラスではない。

シャドウディーバは当時「左回りで本領発揮の格好で、次走以降も同条件なら…ただし牝馬限定戦の多くは右回り施行競走という点で不発する機会も少なからずありそう」と回顧しましたが、その通りに次走阪神牝馬Sでは沈没。左回り戻りのココは改めての局面ですが、G1級でやれるレベルの馬ではないか。

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