キムラヨウヘイ 京都記念の有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

〇レイデオロ(バルジュー)
古馬初対戦での力関係が不安視された前走ジャパンCでも文句無しの内容での2着激走し、いよいよ牡馬王道路線を背負って立つ期待もされる存在に。

強いて言えばその昨秋ジャパンCは“余力”がキーワードとなっていた一戦で、極悪馬場秋天激走馬は軒並み沈んで、前横綱キタサンブラックは有馬記念メイチ戦略を隠さずのジャパンC参戦で、そこで余力の面でアドバンテージあった非主流路線からの参戦だったシュヴァルグランとレイデオロに相対的有利の下地はありました。
ただし、だからと言ってジャパンC2着の価値が薄れる様なヤワなパフォーマンスでは無かったのも事実で、同様のシュヴァルグランの次走有馬記念は3着止まりだったものの、いずれにしても古馬G1好走級の能力は疑いようがありません。

レイデオロの欠点としては体質面の弱さがあって、それもあって2歳秋ホープフルS後は皐月賞直行ローテを強いられましたし、昨秋も[神戸新聞杯→ジャパンC]というゆったりローテの2戦しか使えなかった経緯もありました。
なので、ココからの海外遠征となる次走ドバイG1挑戦については状態面維持を慎重に見極めたい場面となりますが、それも今回に於いては問題となりません。

まあ、無難に勝ち負けに絡んでくる可能性が非常に高い1番人気馬と見ます。


△アルアイン(川田)
まずは前走菊花賞時の有力馬診断見解を参照↓
『マイラー志向の証左とも言える高速皐月賞激走馬で、池江師の見立てもマイラー(師にとっても予定外の皐月賞出走且つ激走)で、更にはこの夏休養を経てより母系(母ドバイマジェスティは米ダ短G1馬)の血統が出た成長を遂げている感も。
前走セントライト記念ではスピード溢れるタイプだけに距離2200のスローペースだとややスピード過多の追走になっており、そしてラストでは極端に速い脚を繰り出してきた一頭にしてやられるという2着…自身も十分に強い競馬をしているが、この領域ではこれが限界であるとも言えると思う。
クラシック重視の池江師だから菊花賞路線に乗せているだけで、そうでなければ別のマイラー方向の路線に向かって然るべき一頭だろう…つまりは菊花賞の距離三千に勝算あるから向かう背景でもなさそうで、激走までは無いはず。』
・・・
その菊花賞はやはり特殊な状況下レースだっただけに、その状況がマッチしていた&疲労残るレースをしていた激走馬はその後振るわない傾向で、逆に非激走馬は軒並み次走好走結果を出している。
その中でも消耗戦を自ら動く強い馬の競馬をして大きく負けなかったダンビュライト・ミッキースワローは古馬重賞戦で結果を残しており、それに準える競馬をしていたコノ馬についても同様の期待が懸かる。
前々走セントライト記念で土が付いている通り、この距離2200も必ずしもベスト領域ではないという点ではどうかだが、そうだとしても十分に好走圏内に位置する一頭との見方にはなる。


▽クリンチャー(藤岡佑介)
菊花賞2着の戦績が光りますが、それは寧ろマイナス評価にもなり得るというのは上記アルアイン欄で述べた通りです。

菊花賞では極悪馬場が向いたが故の激走だったのも確かですし、長距離(適性)だったが故の激走だったのも確かですし、但しその片方でも欠けていれば凡走あってもおかしくなかったはずです。
他馬を気にする面が強くて、故にスタート地点で他馬に先回りされると前に行けない性質があるという難儀な先行馬…ダービーで先行すらできなかったのもソレが主因でした。
その菊花賞でも万事休すの位置取りになりかけたワケですが…それがもしも距離三千と極悪馬場の両方の要素がなければあのリカバリー競馬は不可能だったでしょうから。
そんな異端馬を“普通の条件”で信頼して買うべきなのか否か…。

昨秋シーズンはノースヒルズ本丸カデナとの使い分けもあって急仕上げながらセントライトに宛がわれた経緯でした…当時よりは遥かに良さげな状態での初戦となりそうですが、上記の様なタイプだけにやはり使ってからが本領発揮という気もします。


★ミッキーロケット(松若)
前走日経新春杯は4着と言えども勝ち馬からは0.9秒差も離された完敗でした。
それについては、やはり今の冬季の調整狂い馬(フレグモーネで馬場入り数日休み)は小さくは扱えないというのと、それにも関わらず馬場外目を強気に攻めた分で開いてしまった着差だと見るべきでしょう。
また、当時の京都芝は巷では内外バイアス互角と扱われている見解が大半と思いますが、私は極端な内有利馬場だったのではないかと見ています。その日曜後半に関しては内の馬が外の馬を引き離すレースが繰り返されましたし、その翌週も同様の雨馬場回復状況だったのですがやはり同様の競馬が見られました…それはそういうバイアスが発生していたと考えるのが最もシックリときます。
ガチのG1馬には敵わない力量馬ですが、それが揃いも揃ってまともに走らないのが京都記念ですし、今年のメンバーにもその候補は複数居ますので…おこぼれ3着ゲットが有り得る非上位人気馬筆頭はコノ馬と見ます。


―アクションスター(太宰)
OP特別よりも分不相応にG2に使われるコトが多いが、それはOP特別でも勝負にならないからという逆説的な話だろう…15年から新設された出走奨励金がほぼ無条件で交付されるG2に出た方が、OP特別で頑張って上の着順を目指すよりも結果稼げる期待値が高いと陣営内で位置付けられる程度の馬だというコト。
適条件のOP特別をスルーし続けて、この期に及んでも分不相応なG2に出走させる時点で、奨励金目当ての意向強い=好結果は目指していないという本気度の低さが窺い知れる。


▽ケントオー(小牧太)
まずは前走中山金杯後の次走チェック馬見解を参照↓
『前走中日新聞杯でもそうだったが、今回中山金杯でも外を回しながらも詰まるという残念な騎乗に。
スムーズに捌けていれば5着馬はすぐ目の前でしたし、ブラックバゴに近いインパクトある結果になっていたはず。
決して強い馬だとは言えませんが、引き続き二桁人気の人気薄が続くならば妙味ある存在になってくるか。』
・・・
上記の通り、低レベル重賞~OP特別級ならば世間評価よりも可能性ある馬でしょう…その意味ではココでも妙味はあると言えますが、そうは言ってもG1G2級の馬が何頭も自滅しない限りはコノ馬に可能性は回ってこないというのが現実的な見方になります。



━━━(前編)はこちらに掲載しています。