キムラヨウヘイ 大阪杯の有力馬診断の総まとめ(前編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽ミッキースワロー 牡4 横山典 57 美南 菊沢
まずは前走菊花賞時の有力馬診断見解を参照↓
『先週秋華賞ではアエロリットで1人気を裏切った美浦菊沢厩舎×横山典J…それと同じコンビで、同じ様に大人気に推される模様のコノ馬。

アエロリットについては、まず前走クイーンSでの気ままの一本調子逃げ戦法が秋華賞に臨むに当たって明らかにマイナスの過程だったのと、更には1週前追い切りでも同様に半ば暴走の猛時計という調教過程が果たしてどうだったのか…(と、有力馬診断で軽視方向の見解を書きました)。

対してミッキースワローについてだが、そのアエロリットとは異なり前哨戦セントライト記念では初タッグ横山典Jと息合う好感度高いレース振りだった点ではマルだが、調教過程についてはアエロリットが“攻め”過ぎならばミッキースワローは“守り”過ぎの様な…。
1週前の調教時計は軽いモノだったし、その上で日曜に時計を出さず、更には最終追い切りは単走を示唆…どれを取っても過去の調整過程とは異なる=守りに入り過ぎている印象です。
コレが一流厩舎ならばそれが最善だと見るべきかも知れませんが、何と言っても関西主場(京都阪神)の平地競走では開業以来45戦0連対の菊沢厩舎…まして関東馬にとって鬼門とも言える菊花賞ですから尚更疑って掛かるべきかなと。

一定の水準に達していない菊沢Jから一流横山典Jでまるで別馬へと化した馬は相当の評価をしたいですが、それを引き出せる状況でゲートラインに立てるかについては信任票は入れられません。』
・・・

菊沢厩舎の関西主場(平地)の連続連対無し記録はその後も継続中で、先週時点で50戦0連対となっています。
ただ、その菊花賞はまだ手探りの状態だったでしょうし、激走後で調整が難しかった状況もあったようですし、また距離延長三千レース前でもありましたから…当時と比べれば経験積んで間隔空いて距離短縮二千の今回はだいぶやり易いはずではあります。
前走AJCCは明らかに先を見据えたヌルい調教過程でしたから…鬼門関西遠征でも昨秋菊花賞とは違う攻めの調教過程を踏んでの参戦ならばジンクス打破あって良い場面にも思えます・・・と思ったのですが馬の弱さを理由にしての1週前“ポリトラック追い”&最終追い切り“サラッと示唆”を見る限りでは時期尚早という結論の方に傾いています。


▽サトノダイヤモンド 牡5 戸崎 57 栗東 池江寿
凱旋門賞帰り初戦の前走金鯱賞は、世間的には好意的に捉える見解の方が大勢の様ですが、私には全く以て物足りないレース振りに見えました。

超スローペースを間に合わない位置取りで競馬をして一応上がり最速で追い詰めているので、敗戦自体はやむを得ないモノと言えるし、また決して弱い競馬をしているとは言えないモノですが・・・ただ、この酷評されていた中間調教過程と一緒で、それ以上の走りというか進境はレース本番でも見せてくれなかったのは重く捉えたいトコロ。

というのも、調教でも追走ペースを緩めた最終追い切りでは走れており、それなりの追走ペースだった1週前2週前では格下に遅れる始末だったワケ…その前者のレース振りで最低限の結果を残したに過ぎず、後者(大阪杯で想定されるペース)になっても大丈夫だとはとても言えない様な…巷で言われる様に収穫あるレース振りだったとは到底思えない敗戦でした。

また(他の馬は一様にペースが遅すぎて苦しむ中で)こんな超スローペースでも大人しく中団競馬にフィットしていたのも逆に心配です。

過去の数多の海外遠征を経て不調・不振に陥った馬というのも、今回のサトノダイヤモンドみたくG2のヌルい競馬で3着好走くらいは皆走れています。
そして海外帰り初戦でマズマズ走れたからと更なる期待が懸けられるのですが、そこで意外な程にノビシロを示さない・結果を出せないというのが典型的なパターンです。

金鯱賞から今回大阪杯までは間隔ありませんから調教過程でも攻めよりも守りの過程になるでしょう…ガラリが無い限りはG1激走まで遠いはずですから、その今回に関しては世間的な期待(過去のパフォーマンスが根拠の過剰人気)を下回る結果になる方に賭けたいです。


―サトノノブレス 牡8 幸 57 栗東 池江寿
前走金鯱賞はサトノノブレスにとっては16年金鯱賞3着以来の“まともな競馬”だった…5走前有馬記念はサトノダイヤモンドアシスト勝負度外視競馬で、4走前金鯱賞は詰まり凡走で、前2走は海外競馬で不得手な雨馬場…1年超も戦績が空白になっていたので評価が難しかったが、こんな楽な競馬をさせて貰えれば粘れるくらいの能力は保っていたというコトか。

なので、前走激走はフロック視よりは実力再確認といった認識なのですが、だからと言って先行粘り込みしか好走手段が無いコノ馬にとって、逃げ先行激化メンツのG1レースに放り込まれてどうこうと言うのは常識的に厳しいとしか…。


★スワーヴリチャード 牡4 Mデムー 57 栗東 庄野
前走金鯱賞では上記サトノノブレスを0.1秒差だけ交わした結果と見ると物足りないが、それは対サトノダイヤモンド警戒の競馬をした分&ソラを使う面がある分で、サトノノブレスをギリギリまで可愛がる競馬をした分での辛勝…直線でも他馬が一杯に追うトコロでも余裕持った追走だった辺りは地力が一枚も二枚も上だった印象。
この大阪杯に向けての最大懸念点としては過密ローテだと思っていたが(特に蹄悪化していたので)、考え得る中で最も省エネの競馬での前哨戦勝利を収めた過程は地味に大きな好材料だと見ます。

昨年有馬記念の敗因は右回りもそうですが、あそこまで位置取りを下げた競馬になった点が全ての元凶でしょう…その前のアルゼンチン共和国杯等のレース振りから『今なら自ずと普通に先行できる』が当時◎を打った根拠の一つでしたが、何故有馬記念だけあんなに追走できなかったのかと言えばアルゼンチン共和国杯激走の反動だったのではないかと見ています。

現に体質面に弱さを抱えていて、ここまで連勝は無いという経緯で…金鯱賞でアルゼンチン共和国杯並に走らせてしまえば大阪杯は全幅の信頼置けぬとの評価の予定でした・・・しかし、そうでは無かったとなれば、目に見えない点なので評価は難しいですが大阪杯でも無問題であってもおかしくありません。

前走金鯱賞を見る限りではハッキリと「スワーヴリチャード>サトノダイヤモンド」…にも関わらず後者に幻想への期待票が入る様ならば、この◎スワーヴリチャードでも妙味ある選択になるでしょうか。
ダービーでも有馬記念でも◎を打った通り…(2歳秋の東スポ杯2歳S以降)コノ馬の能力面については一貫して最高評価をし続けています。


回避見込みマルターズアポジー 牡6 ○○ 57 美南 堀井
(※昨年は直前まで大阪杯とダービー卿CTの両睨みで最終的に前者出走でしたが、本年は1週前時点で後者出走の見込みとのコト)
前走中山記念は汗取りを着用しての追い切りなど馬体を絞るのに苦労していた調教過程…レース本番でも馬体重増はやや余裕残しだったと見ますが、それでも激走後などで疲労ある状況の方がもっと危ないタイミングだと言える様な馬です。

昨年は小倉大賞典でHペース逃げ切り1着からのローテで、この大阪杯では謎の大敗を喫しました。
武士沢J曰くキタサンブラックの圧にやられたとの談ですが、私としてはその一因としては上記した通りのローテ面・激闘後の疲労面があると見ています…なので本年の場合には当時ほどの厳しいレースをしていない点はプラスですが、但し当時よりも間隔が詰まる点はマイナスです。

前走中山記念で◎を打てた一つの後押し材料にはTMS◎情報がありました…今回もそれも重視して走れる状態か否かを最たる判断材料としたいです(能力的にはG1でも通用して良い器だと見ています)。


△アルアイン 牡4 川田 57 栗東 池江寿
皐月賞有力馬診断では『毎日杯馬という裏ローテ馬。その毎日杯制覇後に[皐月賞→ダービー]という王道ローテが発表されたが、そもそもがこれまでマイル路線→毎日杯という使い方の時点で(陣営内で)本気でクラシックを狙っていた馬ではないと分かる。一口クラブ所属馬だけに勝ったから夢を見せる皐月賞→ダービーなのであって、そうでなければ順当にNHKマイルCが既定路線だったはずの馬ではないだろうか。』と書きましたが、皐月賞後の池江師はそれと全く同じ趣旨のコトを言ってたので…池江師にとっても予定外の皐月賞(クラシック路線)での激走だった。
それが幸か不幸かはさておき、やはり池江厩舎の一級馬としてその後は堂々と王道路線を歩まされた経緯…前々走菊花賞挑戦にしても池江厩舎だからこその選択でしょうし、前走京都記念も池江厩舎内での使い分けもあってのレース選択でした。

そんな馬本位とは言い難いレース起用から、いよいよ本領発揮の場だろう良馬場・距離二千以下のレースに出馬というのが今回です…皐月賞以降の戦績が全て多少無理ある中での健闘続きだったとすれば、この条件好転での躍進結果まであって良い様にも思えます。


━━━(後編) へ続く。