キムラヨウヘイ 大阪杯の有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽ウインブライト 牡4 松岡 57 美南 畠山吉
前走中山記念は他の有力馬はと言えば“例の前哨戦手抜きデムーロJのペルシアンナイト”“ドバイに向けての調整レースの意味合い強かったヴィブロス”という前哨戦での勝ちに遠いタイプがメインで、その中で目先を獲りに行けるキャラ&立場だったウインブライトは相当優位があったと言えるでしょう。
また、もしマイネルハニーが予定通り前にいる展開ならばグループ戦略で積極的な仕掛けは自重せざるを得なかったはずですが、マイネルハニーが出遅れ後方に回ったお陰で自身の好走に集中できる環境が整っていたという幸運もありました。
そんな背景からの4番手競馬からの中団グループでは真っ先の仕掛け…それがドンピシャで嵌まったという如何にもな前哨戦激走馬らしい1着馬でした。

そういうのは今後も前哨戦・G2クラス戦では強みとして生きてくる機会が度々あるだろうが、ただしこのG1大阪杯でもと思わせられる地力証明する様なパフォーマンスでも無かったのも事実で…例のステゴ牡駒の成長力の怖さはありますが、G1チャンスはもう少し先ではないかと見ます。


▽トリオンフ セン4 田辺 57 栗東 須貝尚
前走小倉大賞典では単純に力が違ったという競馬。
その週の重賞レースではセン馬が大活躍と話題にもなりましたが、コノ馬についても去勢後には20キロ近く馬体減で競馬していたのが昨秋から以前の馬体ボリュームを取り戻して一気に素質開花したという経緯でしょうか。
父タートルボウル×母メジロトンキニーズ(長距離馬)という血統構成で、キレる脚を感じさせるタイプではないが、前走みたく小回り持続戦での強さというのは頷ける話だ。
ただ、その前走はハンデ戦で斤量恵まれる立場でしたし、他人気馬は故障と右回り小回りで差し遅れる形でしたので…この一戦を以て一線級通用評価までは保留というか無いのかなとは思いますが。。


★ペルシアンナイト 牡4 福永 57 栗東 池江寿
前走中山記念では『[ペルシアンナイト]G1ハンター年間最多勝記録デムーロの裏の顔…本番継続騎乗内定馬の前哨戦では逆にポロリばかり(敢えて激走させぬ高等戦略?)~』としましたが、正にその通りの“らしい”前哨戦凡走劇だったと思います。
それはデムーロJ側だけではなくて、厩舎側としても『コーナー4つでマイル時の切れ味を発揮がテーマ』と予防線を張るなどしており、陣営内である程度納得できる予定通りの始動戦だったのではないでしょうか。

昨今のデムーロJのG1大活躍については、彼の選馬眼もそうでしょうが、それと共に騎乗馬の多くが本番前を前に余力を残しての参戦(前哨戦で力を出し切らないレース振り)も少なからず寄与しているのではないかと考えられます。

例えば昨秋JCシュヴァルグランは、結果的にはデムーロJが選ばなかった馬ですが、その時点では本番騎乗可能性あった前哨戦京都大賞典でのデムーロJの手抜き騎乗がその後の本番G1激走に繋がったとも…このデムーロJの前哨戦手抜き騎乗惜敗余力残し馬の次本番巻き返しは一種のパターンとして重視したい点です。

デムーロJ本人のG1での神騎乗力と共に、それだけ本番に余力を残す騎乗というのも大きな要素を占めていると見て間違いないでしょう…前者を失った形のペルシアンナイトですが、後者を武器に上位争いできても良いと見ます(特に前走敗戦で人気落ちならば、それは寧ろ妙味観点では買い材料になるというコトです)。


▽ダンビュライト 牡4 浜中 57 栗東 音無
その“デムーロ前哨戦ヤラズ→本番買い”説に則れば、デムーロJ本人もワンポイントとの認識で思いっ切り勝ちに行く騎乗で完勝パフォーマンスを見せた前走AJCCの結果は、決して今回本番G1に向けて良い話ではありません…それで強さ知れ渡って人気上がるならば尚更妙味薄と見るべきです。
AJCC3着4着には終わりつつある8歳馬9歳馬の入線で、ミッキースワローに対してはそれこそ前哨戦G2を勝ちに行ける立場であるか否かの差だったと見ます…それを以てG1好勝負とまでは言えないかと。


―ゴールドアクター 牡7 吉田隼 57 美南 中川
まずは前走AJCC時の有力馬診断見解を参照↓
『昨春シーズンは日経賞1人気5着凡走・春天5人7着凡走と連続で期待裏切る結果となり限界説も囁かれたが、ラスト3戦目宝塚記念で5人2着好走と気を吐いた。

その宝塚記念での一変劇についてだが、横山典Jのお陰(横山典Jからの陣営への助言で馬が大幅良化した云々)という話がメディアを通してかなり拡散していた。
陣営内では春天凡走については攻め軽めが敗因の一つとして捉えていた様だが、宝塚ではそれとは対照的にこれまでの中で最も質量共に充実した調教欄を作り上げてきたコトが如実に馬の状態面に良い影響を与えたのだろう。
馬の能力は枯れていないとしても、それを引き出す為には結構注文が付くようになっていると見るべきだろう。

さて、今回の復帰戦AJCCでどうかだが、今回は横山典Jの手を借りずの調整過程ですし、宝塚記念とは全く異なる調整過程になっています。
それでは結果を出せないというのは昨春に証明済みだと考えれば…ココは取りこぼしも想定される見え見えの叩き台結果になっても驚けません。
また、レースでの鞍上・武豊J起用が鞍上弱化だとは言いませんが、横山典Jとの二人三脚の末の激走結果再現を一発回答で出せるかは疑問です。

どのタイミングで宝塚記念前パターンを踏襲する調整過程を踏んでくるのか、次走以降も調教欄に注視して取捨判断していきたい。』
・・・
そのAJCCでは危険人気馬に指名して3人気11着大敗…鞍上武豊J曰く『深刻』という今後に尾を引く様な負けっぷりでした。
この中間の調教過程でも“遅れ”と“劣勢”が目立つ辺りは、前走後の武豊Jのコメントと繋がる話です。


―シュヴァルグラン 牡6 三浦 57 栗東 友道
ボウマンJがわざわざ乗りに来るという天皇賞春が最大目標で、それに向けて負荷軽い始動戦という意味合いでの適鞍阪神大賞典ではなく距離不足大阪杯への参戦…生粋のステイヤー資質馬ですのでこの距離ではG2でも危ういと思いますし、まして本気度皆無で次を見据えたレースでしょうからココで好勝負できる道理がありません。


━━━(前編)はこちらに掲載しています。