キムラヨウヘイ 安田記念の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

★アドマイヤマーズ牡4川田58友道(栗東)
ダイワメジャー産駒の基本は瞬発力勝負よりも持続力勝負が得意で、実際にダイワメジャー産駒のG1勝利8例の内6例が前傾ラップ戦です。
アドマイヤマーズも例に漏れずそういう上がり掛かる競馬が得意で、中京2歳Sや朝日杯FSやNHKマイルCなど高いパフォーマンスだったレースは軒並みそうでした。その一方で上がりが速い競馬では敗戦か勝ったとしても辛勝ばかりでした。
それが前走香港マイルは、その本来苦手だろう高速上がり勝負での勝利…そもそも短距離王国の香港のマイルG1勝利というのは価値が高いですし、馬が化けている可能性も考えられます。
ペースが流れるのが基本の安田記念ならば、その前走香港マイルよりももっとパフォーマンスを上げられる可能性があり…3歳秋以降は出走数が少ない分でブラックボックス化していますが、実は世間評価以上にもっと強い馬になっている可能性はあります。


〇アーモンドアイ牝5ルメール56国枝(美浦)
今さらコノ馬について能力について語ることもないですし、唯一の凡走の有馬記念は距離延長二五で掛かったのが全てで(それでもペースを考えれば十分負けて強しの競馬をしている)、その二の舞は無いだろうマイル条件ならば確実に現役最強馬としてのパフォーマンスを発揮してくれるはずです。

ただ、競馬は必ずしも能力と適性だけでは決まらなくて、どうしても一定の確率で不条理な結果も出ます…それが顕著に起こるのがこの東京マイルG1だったりします。
例えば過去のG1レースでの三連単高配当記録の半数は、この東京マイルコース施行のG1レースから出現しています…それだけ予期せぬ波乱が発生しやすい条件だと言えます。
その一つの要因は直線の渋滞…実際に2年前は2番人気ペルシアンナイトが、3年前は1番人気イスラボニータと2番人気エアスピネルが渋滞に巻き込まれて負けています。
いくらアーモンドアイが強くて適性が高いとしても、そういう事故が起きやすいレースで断然人気馬と心中すべきかは?


★インディチャンプ牡5福永58音無(栗東)
コノ馬は少頭数立てのヌルいレースだと折り合いを欠いたり、すぐ抜け出してソラを遣ったりと取りこぼす競馬になりがち。逆に多頭数激戦レースの方が、折り合いも付けやすいし、併せ馬に持ち込めてソラを遣う面を出させないで本領発揮できるという傾向です。
前走マイラーズCは完勝でしたが、それでもベステンダンクを一気に抜け去ってからはベステンダンクと同じ脚色で…それは手綱を緩めたのもあるでしょうが、コノ馬は着差を付けて勝てる馬ではないという表われでもあります。
前哨戦でそういう余力残しの競馬ができたのはプラス材料で、多頭数激戦G1レースこそコノ馬の本領発揮が望めるレースで…横綱アーモンドアイ相手でもコノの持ち味をフル発揮ならば楽しみはアリと見ます。


★グランアレグリア牝4池添56藤沢和(美浦)
藤沢和厩舎の馬が、極端に芝道悪条件を苦にしているというのは何度も記してきた話です。
実際に2005年以降では芝重不良の重賞で連対したのはグランアレグリア1頭のみで、そのグランアレグリアにしてもルールの不備で2着になっただけで本来ならば4着だったというのが正当な結果です。
ただ、4着だったとしても、この厩舎の馬が芝道悪でそれだけ走ったというのは相当評価すべき結果で…実際に21世紀に道悪重賞好走した馬は7頭いるのですが内5頭は後にG1勝ちを収めています。
グランアレグリアも東京良馬場なら更に走れるはずで、厩舎の先例を思えば再度G1勝ちできて然るべき馬だと言えるはずです。


―クルーガー牡8石橋脩58高野(栗東)
これまで東京コースでは[0-0-1-4]、中山コースでは[2-0-1-1]…近2走の東京新聞杯5着→ダービー卿CT1着の戦績推移もそのコース適性が反映されたと見るのが妥当でしょう。
東京コースでの唯一の好走は不良馬場時で、そういう馬場悪化でパワー競馬になる恩恵でも無い限りは足りないか。


▽ストーミーシー牡7横山武58斎藤誠(美浦)
まずは3走前東風S4人1着時の◎見解を参照↓
『コノ馬は調教の動きとレース結果が直結するタイプ。
近2走は共に間隔が空いたローテで調教で動き切れず、それでも2走前阪神カップは内有利馬場を大外枠追い込み競馬で脚は見せましたし、前走阪急杯も詰まりつつ0.2秒差と健闘していました。
今回は良績の間隔を詰めたローテで、調教でもラスト2F&1Fでは一番時計を計時など動きを良化させてきました。
中山マイルは古くはニュージーランドT2着と重賞激走歴もある舞台で、直近の4走前京成杯AH6着にしても詰まって2着まで0.2秒差という惜しい内容だっただけに、コノ馬が得意とするコースの一つと言って良いはずです。
この走れる状態で、大幅相手関係弱化で、実績あるコース替わりとなれば…あとは展開一つ・捌き一つでチャンスある一頭と見て推奨します。』
・・・
3走前東風S&2走前ダービー卿CTは共に前に厳しい展開での勝利&負けて強しの敗戦。
前走京王杯SCは間隔が空いて、調教時計もそれらよりは出せておらずでの敗戦。
今回間隔が中2週に詰まるのはコノ馬の得意ローテで、あとは最終追い切りで1番時計級を出してくればコノ馬の好走パターンとはなってきますが…。


―セイウンコウセイ牡7内田博58上原(美浦)
これまで逃げ競馬時には9戦8好走で、唯一凡走は外差し馬場で暴走逃げをした昨年シルクロードSのみ。
逃げなくとも揉まれず2番手3番手競馬なら力を出せる馬で、実際に今期はそれでシルクロードSバイアス不利で5着・高松宮記念で7着と健闘はしています。
ただし、そういう得意戦法だとしても足りなくなるのが距離千四以上の条件。その形でも昨年スワンSや前走京王杯SCは粘りを欠く結果で、そこから更に距離が伸びるのは明らかにマイナスで…。


△ダノンキングリー牡4戸崎58萩原(美浦)
近走で安田記念特有の速い流れを経験していない中距離馬というのは、去年も大阪杯組は全滅しましたがあまり良いとは言えません。ただ、コノ馬の本質はマイラーとされていて、(経験という側面以外では)この距離条件変更も寧ろプラスに転ぶ可能性も全然あって…特段強調点はありませんが、過去9戦8好走のほぼ崩れぬ馬としての扱いは当然必要。


―ダノンスマッシュ牡5三浦58安田隆(栗東)
2走前高松宮記念では激走後の反動と出負けも響いたのか、折り合い面もチグハグで人気を裏切る凡走。
前走京王杯SCでは折り合い鍵馬でレーン騎手で距離延長千四で…厳しい条件揃っているかと見ていましたが、そういう馬に対しては効果テキメンの逃げるというオプションを実行すれば当然無問題で。その上で高速馬場での必然のスローペース逃げに持ち込んだとなれば、激走結果も至極当然の範疇と言えるでしょう。

その後は当初は秋G1に向けて休養という話でしたが、前言撤回・急転直下で安田記念出走に。ダノン3頭出しで何か意図あるのかも知れませんが、距離千四で逃げる競馬をさせた折り合い△タイプ馬に、距離延長千六で常識的な競馬を望むのは酷で…自身好走は難しいだろう。


▽ダノンプレミアム牡5レーン58中内田(栗東)
この厩舎は色々な意味で仕上げが早くて高い完成度でレースに出走させるので、そういう若駒のレースとか休み明け初戦では強いのですが、古馬になってからとかレースを叩いてのノビシロはあまり無い傾向です。
実際に今年の厩舎成績を見ても、3歳馬では例年通りの勝利数を稼いでいますが、早期育成された世代の馬が不振でリーディング苦戦中。
ダノンプレミアムはその中内田厩舎お得意の早期仕上げを施されて2歳6月に衝撃デビューを飾った馬で、コノ馬の株価が最も高かったのはやはり2歳時だったのは間違いないでしょう。
その後に4歳秋でも秋天2着など一線級の活躍をしているので例外的な馬という可能性もありますが、それでもこの厩舎の馬が5歳世代馬になっても活躍が持続した例は少数派ではあるので…そろそろ賞味期限切れの可能性も考えなければなりません。

例のレーン騎手とディープ産駒の不相性ですが…それはレーン騎手の特徴を語る上で最も分かり易いデータを紹介しているまでで(いわゆるなディープっぽい馬とレーン騎手は合わないという趣旨)、別にディープ産駒なら何でもかんでもダメの様なデータ予想家的な視点での提示ではありません。
スタートもキチンと出て、前で競馬してこそのディープ産駒ならば…そのマイナス点はほぼ無いでしょう。


▽ノームコア牝5横山典56萩原(美浦)
妹のクロノジェネシス同様に間隔を空けたタイミングでパフォーマンスを伸ばしてきている馬です。
2走前高松宮記念は早々に諦められた分で次に余力を残せて前走VM好走に繋がりましたが…そこから間隔が一気に詰まって中2週というのはコノ馬が走れてきた間隔ではない分で…。


―ペルシアンナイト牡6田辺58池江寿(栗東)
まずは前走中山記念後の回顧文を参照↓
『3歳秋以降のシーズン初戦は5戦全て人気以下の着順に凡走で、またそれ以降の4度の好走は全部本番のG1レースだけ。
休み明け初戦は走らぬキャラは明確で、叩いた次走以降の変わり身は期待できます。
ただし、これ以上の距離だと長いはずですし、距離マイルでも緩く流れて時計も掛かるマイルCS向きのタイプで高速レースの安田記念はそこまで向かないだけに…今期これ以降の買い時というのは特に見当たらず…。』
・・・
上記の通り、今回は3歳秋以降に1度も人気を上回る走りをしていない休み明け初戦ローテであり、マイラーでもマイルCS向きタイプで適性不一致の安田記念条件では…大望は望めぬか。

先週は激走候補のキングオブコージが目黒記念を快勝!
第二重賞の有力馬診断はこちら!

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