キムラヨウヘイ 有馬記念の有力馬診断

※印は[★激走候補~△有力~▽軽視~―無印」を表します

―オセアグレイト 牡4 ○○ 57 菊川(美浦)
今年のステイヤーズSは「前半5Fは66秒台→その後の5Fは65秒台→ラスト5Fは59秒台」という超スローペース且つ道中に何の動きも入らないという超単調なレースに。結果的にも道中の通過順位と入線着順がほぼ一致する様な有り様で、その流れに乗じて上位入線した馬のパフォーマンス価値は大して見出せません。
その地盤沈下状態のステイヤー路線で圧倒的な存在だったアルバートでも、王道路線G1に出走すれば有馬記念でも天皇賞春でも歯が立たなかった通り、路線のレベル差というのも相当あるだけに…諸々の面でステイヤーズS勝利は有馬記念には通用しないだろうと。


―オーソリティ 牡3 川田 55 木村(美浦)
前走アル共1着について…以前に『ルメール騎手は強さと弱さの両面あって、端的に言えば次走本番G1で騎乗しない馬のピンポイント騎乗だとG2で出し切る騎乗をして好走傾向というコトです。昨年の神戸新聞杯サートゥルナーリアなんかはその典型でしたが、そこで力を発揮しし過ぎた分で本番にお釣りが無いというケースもままありますので…。』と記しましたが、ジャパンCでも有馬記念でも乗らないであろうオーソリティみたいな馬では目先を獲りに行く騎乗で結果勝利するシーンが多々あります。
そのアル共前でも中間調教では相当折り合いに苦労していただけに、ルメール騎手の勝ち気騎乗の後を別騎手が受け継ぐ場面というのは結構難しい所があるはずで。


★カレンブーケドール 牝4 池添 55 国枝(美浦)
国枝厩舎の勝負調教はコース追いで、坂路調教時は難かしらのワケを抱えているケースがメインで、回収率でも好走率でも前者が後者を圧倒しています。

カレンブーケドールも、蹄不安なくウッドコースでバリバリやれている時にパフォーマンス高く、蹄不安も考慮して坂路コース(国枝厩舎の非勝負調教)で調教をせざるを得ない場合には昨年紫苑Sにしても昨年秋華賞にしてもパフォーマンスを落としているという結果になっています。

その後の昨年ジャパンCと今年京都記念はコース追いでしたが、今期初戦オールカマーは再び1週前と最終追い切りが坂路追いというトーンダウン感ある調教過程でした。
だからと言って飛ぶというよりは、予想でも「何かに足を掬われる可能性の方が高い」と記した通りの評価でしたが、実際にも格下馬に先着を許すという結果で…その過程(ワケ有り坂路調教)についても、レース振り(掛かり早め先頭から差され)にしても、昨年紫苑Sで負けた時のデジャブ感満載だったという印象です。

今期2戦目の前走ジャパンカップでは、国枝厩舎2頭出しとなり、アーモンドアイが引退レースのJCメイチだったのに対して、カレンブーケドールは『ここで弾みをつけて有馬記念へ向かいたい』との談話の通り有馬記念へのステップレースとの位置付けでもあったレースでした。それでも叩き2戦目効果で4着健闘したのは予てから高評価している地力の証としか言いようがありません。

昨年はコース追いに切り替えられた3戦目ジャパンCで大幅にパフォーマンスを伸ばしましたが、本年も今期最大目標の位置付けの有馬記念で調教パターン好転の一押しもあれば激走候補に。


▽キセキ 牡6 浜中 57 角居(栗東)
まずは前走ジャパンカップ6人8着時の有力馬診断を参照↓
『4走前天皇賞春では前で我慢できなくて暴走敗戦、3走前宝塚記念は出遅れ競馬も外有利馬場と後方有利展開となったことによって挽回できて(寧ろプラスに働いて)好走、2走前京都大賞典も外回し競馬が不利にならずに好走。
前走天皇賞秋は久しく常識的な競馬での善戦でしたが、引き続き自身の大トビ走法を生かせる東京コースは良いとしても、距離延長二四となってJCらしい緩いペースで我慢し続ける優等生競馬ができるのかは?』
・・・
その前走ジャパンカップではHペースで逃げて8着に粘り込む負けて強しの内容でしたが、意図せずに“Hペースで逃げる”という状況に陥ってしまう辺りがコノ馬の気性的な限界と言えます。
有馬記念では2年前に大逃げで5着、前年に出遅れて追い込んで5着と連続で善戦で、共にもしも普通の競馬ができれいればという所でしたが…その普通の競馬というのを距離延長ローテのコノ馬に望むのは酷で。


★クロノジェネシス 牝4 北村友 55 斉藤崇(栗東)
まずは2走前宝塚記念での◎推奨見解を参照↓
『「今の競馬は消耗が激しくレースを続けて使っても良いことがありません」というのは、コノ馬と由縁のある某個人馬主さんの言葉ですが、その背景はともかくとして、現代競馬のトレンドとして連戦ローテを苦にしての凡走事例、その表裏としての休み明けローテ(若しくは何もできずの大敗後などで疲労が抜けているタイミング)での一変事例は枚挙に暇がありません。
コノ馬にしても、昨秋は8分のデキと言われていた秋華賞であれだけ走れて、叩いて良化と言われていたエリザベス女王杯で走れなかったというのはその反動説が濃厚であり…やはり間隔を空けてこそのタイプだと見做せます。
実際にこれまでのローテ別の成績は「中8週以上では4戦4勝⇔中7週以内では6戦1勝」で、連戦ローテだと馬体を増やせず停滞、休み明けローテだと馬体を増やしてパフォーマンスを更新している履歴となっています(実際に陣営は常々馬体を増やしたいとしており、それは休み明けローテでしか叶わないというコトになっています)。
今期は第一目標のG1大阪杯に向けて間隔を空ける為に京都記念から始動のローテだったはずですが、それでも前走大阪杯時の間隔は中6週で、結果馬体減での出走でした。それでの2着という結果については、出し切った結果というよりも、本来であればまだ上が見込める残念な結果だったと捉えたいです。
昨年の秋華賞と今期初戦の京都記念は、共に中10週以上空いたローテで馬体重大幅増が叶いパフォーマンスを伸ばしての勝利…間隔詰まった前走大阪杯は停滞しましたが、再び中10週以上空いたローテで馬体重増で挑めそうなココは本領発揮(前走大阪杯2着の更に上の内容と結果)が見込める買い時と見ます。』
・・・
その2走前宝塚記念では目論見通り馬体重二桁増で大激走。
前走天皇賞秋では『“連戦だと馬体減らして停滞→休み明けで馬体を増やせた時に自己最高パフォーマンス更新”を3度続けているという近況で…さすがに今回は馬体重増としても小幅になりそうですが、本格化を迎えたと判断できる前走宝塚記念だけ走ればアーモンドアイ相手でも面白いはずです』としましたが、結果的にはさすがに更なる上昇とはなりませんでしたが、宝塚記念同様の非常に高いパフォーマンスレベルで好走しました。

今回はそれらよりも間隔が詰まる中7週となりますが、『連戦ローテだと馬体を増やせず停滞、休み明けローテだと馬体を増やしてパフォーマンスを更新している履歴』であって、別に停滞であってダウンというワケではありません(フィエールマンとは違う)。

中3週の3歳秋エリザベス女王杯ではパフォーマンスダウンでしたが、それ以外の中6~8週間隔では常にパフォーマンス維持させています。
宝塚記念や天皇賞秋以上は求められませんが、それだけ走れれば本来はいつ何時もG1で勝ち負けに絡める計算ができるワケですので…3走連続の◎有力候補。


―サラキア 牝5 松山 55 池添学(栗東)
コノ馬のポイントは暖かい季節が得意というのとスンナリ系の気質の持ち主という点。
3走前小倉日経OPと2走前府中牝馬Sは共に少頭数立てで、外差しが利く馬場状態で自ずとスムーズな競馬ができた結果の好走でした。前走エリ女も恵まれたワケではありませんでしたが外枠から大外を追い込む力を出せる競馬でした。
本来は中々厳しい多頭数条件で、季節面でも不得手気候ど真ん中となるココでは懐疑的。


―バビット 牡3 内田博 55 浜田(栗東)
まずは前走菊花賞時の有力馬診断を参照↓
『2走前ラジオNIKKEI賞後には「折り合い面に不安ある馬…今回は逃げ馬揃いも最内枠の利あり逃げ競馬に持ち込んで本領発揮となりましたが、逃げない競馬への不安は依然としてアリ」と記しました。
前走セントライト記念では今度は容易に逃げを打てるメンバー構成戦で、蓋を開けてみてもペース的にも楽な単騎逃げ切り勝利でした。
今回は上記キメラヴェリテの存在がいる以上は、十中八九逃げポジションは譲るコトになるはずで…そこで気性的に逃げても逃げなくても同じだけのパフォーマンスを発揮できるかと言えば、微妙な面もありそうで…。』
・・・
菊花賞前には調教でも控える競馬の予行演習が行われていましたが、そこでも我慢できていかと言えば否で…本番でも前に馬が居る形と外有利馬場に苦しめられての敗戦は止む無しと言えます。
まず逃げないと話にならないと思いますが、仮に逃げられた所でも制御不能キセキの存在や今のタフ馬場では楽な戦いは望めないだけに…。


▽フィエールマン 牡5 ルメール 57 手塚(美浦)


・・・
前走天皇賞秋は過去最長のレース間隔で過去最高パフォーマンスを発揮しました。
今春には天皇賞春1着後に宝塚記念参戦を掲げるも、結局は回復できずに回避した歴がありますが、今回の有馬記念はそれと同じ中7週ローテとなるだけに…この手の話は段々と体質強化されてこなせる様になるというのが相場ですが、ただつい今春がそうだっただけに馬体減激走後の連戦ローテで万全の態勢を敷いて出てこられるかと言えば疑問は否めません。


★ブラストワンピース 牡5 横山武 57 大竹(美浦)
コノ馬は調整段階の馬体重とパフォーマンスが直結する馬。
昨年春シーズンは[1週前馬体重567K→当日538K]の“超急仕上げ“だった目黒記念凡走から、徹底した体重管理をされて[1週前540K台→当日536K]だった札幌記念勝利というコトもありました。
2走前宝塚記念は脚部不安により外厩で乗り出しが遅れて[2週前570K・1週前565K]という昨年目黒記念に近い馬体肥大パターンで…当日馬体重だけ見れば特に変動はありませんでしたが、直前に無理に数字上の馬体重を一気に減らした格好だけに、中身の面・実質の面では整っていなかった可能性が高いです(数字はいくらでもどうにもなるので、その最終馬体重よりも調整段階の順調さのバロメーターである中間馬体重の方が重要)。
前走天皇賞秋も札幌記念パターンならば巻き返し狙いたかったですが、宝塚記念の反動で再び間隔が空いて[3週目571K→2週前570K→前週567K]という昨年目黒記念や前走宝塚記念と酷似するパターンで、案の定走れずという結果でした。

今回は天皇賞秋で走らなかった分だけあって最近の中ではレース後の疲労は大分マシで、久々に休養を挟まず連戦ができて、その際には脚元ケアと共に馬体重管理もできて、少なくとも最近の中では最も馬体を太らさせずの帰厩が叶いました。
2年前に同レースを制している通り、年末のタフな馬場の中山コース戦はコノ馬にフィットする条件でしょうし、変わるとすれば今回と見ています。


―ペルシアンナイト 牡6 大野 57 池江寿(栗東)
コノ馬のポイントは叩き良化型というのと折り合い面。
直近の距離二千超のレースは4走前宝塚記念でしたが、当日は距離マイルからの大幅距離延長ローテで掛かって自滅でした。
距離適性も疑問な上に、マイルを2度使われた後にこの長距離に適合するのは難しそう。


―ミッキースワロー 牡6 戸崎 57 菊沢(美浦)
揉まれ弱さあって外回し競馬が好走パターンになっているというタイプ。
4走前日経賞は外差し馬場で外回し競馬で好走。
3走前天皇賞春は通常では同戦法は不利ですが今年は外有利馬場となった分で自ずと有利な走りができたのが主な好走要因。
2走前オールカマーでは、そういう他馬を気にする面がある馬だけに内枠先行の形では他馬からのプレッシャーに抵抗できずに、コーナー入りでは3番手だったのが5番手に下げられてしまい、その分だけ揉まれ弱い所と折り合い面の難しさを露呈してしまうという鞍上の工夫が結果的に裏目に出てしまったのが全てでした。
フルゲート級のレースでは余程外差し馬場になって嵌まらねば厳しいですし、正攻法の騎乗をする戸崎騎手騎乗では一発の魅力も乏しく。


▽モズベッロ 牡4 ○○ 57 森田(栗東)
まずは前走宝塚記念後の回顧文を参照↓
『3戦目若葉Sに騎乗した和田騎手は「長い目で見たい。走ってくる。素質はピカイチ」と振り返っていましたが、その後も格上挑戦を繰り返されていた様に当初から大きな舞台でやれる何かを見せていた馬でした。前走天皇賞春は距離の壁に跳ね返された形でしたが、天皇賞春好走馬よりも凡走馬の方が好走する傾向ある宝塚記念で息を吹き返したという結果。
その前走天皇賞春を除けば右肩上がりでパフォーマンスを上げている馬だけに…今回は重馬場や距離短縮ローテなど好条件にも助けられた感はありますが、それ以上に馬が強くなっているというコトだと思われます。
今回もモタれる面を見せるなどまだノビシロを残している馬という意味でも、秋以降の楽しみは大きい一頭と見ます。』
・・・
9月に年内絶望級の外傷を負ったものの、見込みよりも回復が早かったとのことで有馬記念に登録。ただし、中間調教を見る限りでは坂路オンリーで本来の時計も出せていないなど、万全な状況での復帰戦とは言い難いか。
底を見せていない魅力はあるが、前走宝塚記念にしても展開と馬場に大分恵まれての3着だっただけに…。

多頭数、小回りの阪神1400mがぴったりなのはどの馬だ?
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