キムラヨウヘイ 桜花賞の有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽アーモンドアイ 牝3 ルメール 55 美北 国枝
2歳G1阪神JF好走組でもなく、最有力前哨戦チューリップ賞好走組でもない馬に、最上位候補馬が複数紛れているのはやや珍しい話。
それはアーモンドアイとプリモシーンの話ですが、結果的にそれだけの力量馬・素質馬でありながらもそういう裏街道を歩まされたのは、大雑把に言えばノーザンF内の使い分けですが、もっと核心を突けばノーザンF内で序列高くないシルク馬という背景から冷や飯を食わされた面も無きにしも非ずと思います。
(もちろん、そんな使い分け云々は(今回に限らず)大々的に公にされない類の話ですので、表向きには尤もらしい別の話が出回るワケですが)

阪神JFは5番人気までの4頭がサンデーレーシング馬というサンデーレーシング運動会状態で、結果的にもそれのワンツー決着となりました…が、それには格下クラブ馬の忖度というか対圧力が働いていたからこその結果というワケです。

さすがにシルク馬だからと言って桜花賞にも出てくるなとはできませんから、それらサンデーレーシング優遇馬にとってはいよいよガチンコの勝負を強いられるという場面になるというコトです。

逆にシルク冷遇馬はコチラも裏街道を歩まされたせいで、桜花賞出走までに本当に強い相手とは一度も当たっていないというのも良い話ではありません(強い相手と当たって自身実力を自己認識するコト、又は前哨戦で負けてこそ得られるモノもありますので)。


その上で、アーモンドアイについてですが、まあチューリップ賞・フィリーズレビューなど有力前哨戦が全て終わった後の最終決定だったとは言えども、ノーザンFで最も序列高いルメールJを確保しての参戦というのは内部評価でそれだけの馬である裏返しであるとも言えます。

ただし、これまでの3戦は全てレースレベルD以下の相手関係が軽い所でのレースだった点で真の力量は何とも言い切れない部分もあって、また今のルメールJでほぼ確実に出遅れて後方外追い込み競馬になる人気馬というのがどれだけの期待値あるかは慎重に見るべきと思いますが。


▽プリモシーン 牝3 戸崎 55 美北 木村
同じくシルク馬から有力馬の一角に数えられるプリモシーン。
昨春にシルクの現3歳世代馬一番馬とブログで推奨した馬です…もちろん出資はしていませんし、まあ結果的に一番馬でもないだろうワケですが。
母モシーンはオーストラリアの名牝で、これとディープとの配合なら世界的な血統。母モシーンの父Fastnet Rockは日本競馬でも当たり馬率が高いです。
プリモシーンはそんな母系パワー系統を受け次いで、馬体重480キロとの馬格を手に入れたのが大きな強みです。
逆に姉は気性難で終戦、妹は馬体重が中々増えないのが悩みでしたが直近では470キロ台に乗ってきました…気性課題母系に従順ロードカナロアの配合は良い塩梅かも知れませんね。

それを思えば関東馬だけに間隔を空けたローテは無難にも思えますし、その血統的に未知なる魅力は大きいです。
ただし、とは言えども非王道ルートを歩まされての初西下がいきなり本番桜花賞というのはやっぱり嫌な材料です(特にこの難しい血統馬だけに)、そして例年よりは面子揃っていたとは言え元来空き巣重賞のフェアリーSでの快勝程度では現状G1級の実力あるとまでは言い切れないのが・・・。


△ラッキーライラック 牝3 石橋脩 55 栗東 松永幹
『阪神JFは5番人気までの4頭がサンデーレーシング馬というサンデーレーシング運動会状態で、結果的にもそれのワンツー決着となりました…が、それには格下クラブ馬の忖度というか対圧力が働いていたからこその結果というワケです』の通り、これまでの好敵手は実は身内ばかりだったという点で、もし死角があるとしたら今回はそうではないという点ではないかと見ます。

阪神JF回顧でも『1着ラッキーライラックの姉ラルクは未だ条件クラス止まりになっているが、その一つの要因としては怖がりな気性面が出世を阻んでいる面もある…そして、その妹であるコノ馬も同じく怖がりな面があるという。今回も死角があるとすればソレだと見ていたが、結果的には外目の枠順を引いて…馬群も縦長に流れて…目下のライバルを視野に入れてのスンナリとしたレース振り…ココも弱点封印の本領発揮が叶ったのは地味に大きかったはずで。』と記しました通りです。
阪神JFはサンデーレーシングの運動会、チューリップ賞は少頭数10頭立て競馬…今度はフルゲート多頭数戦で断然1人気の立場で忖度通用しない相手関係…月並みですがコレで桜花賞では不利とされる内枠でも引いてしまえば単勝1倍台を素直に信頼とはならないです。
逆にこれで中外枠を引いてスンナリ先行競馬が望める様ならば…その暁には当然桜花賞馬に最も近い存在ではあると見ます。


★リリーノーブル 牝3 川田 55 栗東 藤岡健
阪神JFではラッキーライラックと遜色の無いレベルでの走破を見せていたが、チューリップ賞ではそこから数カ月を経てハッキリとレベル差が生じていた様に思える3着止まりという結果。

ただし、競馬というのは必ずしも力量序列通りの決着になるとは限りませんから、前哨戦チューリップ賞との比較では寧ろより優位な競馬をやり易い立ち位置になるとも言えるリリーノーブルは決して外せない一頭になると見ます。

ラッキーライラックはチューリップ賞は完勝でしたがその背景には出来過ぎたレース振りもあって、上記の通りその面でも死角は無きにしも非ずです。
それに対してリリーノーブルはチューリップ賞では休み明けも影響したのか道中掛かる所あっての難しい競馬でそれで3着ならば及第点以上…どうやら一叩きしてガス抜き効果あったとの話で今回は更に走れてもおかしくありません。
伸びしろが見込めるリリーノーブルに対して前走で全てを見せてしまったラッキーライラック…ラッキーライラックの枠順次第ではリリーノーブル戴冠予想が期待値高いかも知れません。


▽マウレア 牝3 武豊 55 美北 手塚
今期はオークス大目標で、青写真は[クイーンC→桜花賞→オークス]だったトコロだったのが、クイーンCで賞金加算できないで予定を変更してのチューリップ賞を挟んでの桜花賞参戦。
馬格が無いだけにその余計な一戦を挟んだローテは決して良いとは言えないですし、そのチューリップ賞では実際に馬体重も-8キロのギリギリの水準でした。

その後は栗東滞在効果で馬体回復と状態上昇との話ですが、あくまでも陣営の一貫した見解としてはオークス向き=オークス大目標というモノです。
確かに前々走クイーンCでのHペース先行伸び切れずのレース振りは、本質的なマイル適性に疑問を投げかけられる内容でしたので。

もし今回がオークス=距離二四ならば重視したい一頭ですが、距離マイルならば「死角有るがラッキーライラック>伸びシロあるリリーノーブル>マイルでは限界有マウレア」の序列は阪神JF当時から変わらないと見ます。


━━━(前編)はこちらに掲載しています。

もう一つの牝馬戦、阪神牝馬Sの診断はこちら