キムラヨウヘイ 高松宮記念の有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽グランアレグリア牝4池添55藤沢和(美浦)
▽タワーオブロンドン牡5福永57藤沢和(美浦)
タワーオブロンドンはこの高松宮記念後には欧州遠征プランもある馬。それだけに今期始動戦オーシャンSでは余裕残しの状態での出走で、その分の3着という結果については情状酌量できる敗戦です。その前のセントウルS・スプリンターズSのパフォーマンスは秀逸で、叩き2戦目で本領発揮ならば当然勝ち負けを窺える存在でしょう。

グランアレグリアは初の連戦ローテと距離マイルで折り合いを欠いた2走前NHKマイルC5着は情状酌量できる敗戦で、その前の桜花賞1着や前走阪神C圧勝劇を見るに、やはりG1で重い印を打たねばならないレベルの馬でしょう。

ただし、今週末は雨予報で道悪競馬も想定されますが、そこではタワーオブロンドン・グランアレグリア共に、例の芝雨馬場でカラッキシな藤沢和雄厩舎所属馬であるという点が最大の懸念材料になります。

藤沢和厩舎は、馬を痛めつけないゆとり調教方針で、それによりエリートタイプのお坊ちゃん・お嬢様タイプの馬が出来上がるというイメージが言えます。馬にとって優しい、走りやすい馬場条件では強いのですが、馬場悪化時など過酷な状況に置かれた時に、パフォーマンスを極端に落とす馬が非常に多いというワケです。

実際に本年は芝重&不良では全て人気馬でありながら5戦0連対で、2005年以降に重賞レースで芝重&不良では42戦0連対(1番人気7頭・3番人気内13頭)というのはあまりに顕著な傾向で…道悪で同厩舎馬が人気するならばぶった切るのが正解でしょう。
(重賞×芝重不良で近15年で3着にきた3頭の内2頭は単勝1倍台で、もう1頭は次走天皇賞秋を勝利するスピルバーグでした)


―モズアスコット牡6○○57矢作(栗東)
モズアスコットの今期のダート路線連勝については、別の説も唱えてきましたがあそこまで走られてしまったらダート適性の高さと言うしかありません。
そのダート連勝近況も加味されて今回は穴人気しそうですが、それ以前に芝では6着2着14着と平凡戦績で、唯一好走のスワンSは低レベルレースで外差し決着も嵌まったモノで…単純に最近の芝でのレース振りの限りでは、G1で重い扱いをできるレベルの馬ではなく…。


△ダノンスマッシュ牡5三浦57安田隆(栗東)
昨年の高松宮記念前哨戦のシルクロードSでも、他上位勢は外枠からスムーズな競馬をできた馬ばかりという中で、馬場バイアス的に有利ではなかった最内枠から力の違いの競馬での勝利でした。
同じく今年も高松宮記念前哨戦のオーシャンSでは、相手ナリに相当渋とく走るナックビーナスを0.2秒差突き放しての勝利で、相当の能力が無ければできぬ芸当=高パフォーマンスを見せてきました。

その昨年は本番高松宮記念では1人気4着と崩れる結果だったワケですが、それは左回りを苦にした側面も強かったです。
それは陣営は百も承知で…本年のローテも、斤量56キロで出られる&主戦川田騎手が乗れる&得意右回りのオーシャンSにも大分重きを置いていたとの邪推もできます。実際に川田騎手は前哨戦でも出し切る競馬が身上で、次走本番レースで乗れない馬となれば尚更そうだと読めます。

前哨戦完勝後の中2週+テン乗り騎手起用+左回り替わりの本番高松宮記念では決して安泰とは言えないでしょう。


―ラブカンプー牝5酒井学55森田(栗東)
5走前までは8走連続二桁着順負けと散々でしたが、4走前京阪杯では外有利馬場で最内枠先行から9着という復調窺える内容。
その後の3走前と2走前は共に道中接触不利あって、前走もミナリク騎手騎乗で前に行けない競馬で…揉まれ弱さも秘めるラブカンプーにとっては厳しい競馬になった分での敗戦でした。
前残り馬場でスンナリ積極策が取れれば、ソコソコやれてもおかしくない状態にあると見ていますが…さすがにG1級では荷が重いか。
ココを凡走した後にハンデ戦での一変候補。


―ティーハーフ牡10国分優57西浦(栗東)
3走前2走前は得意とする京都且つタフ馬場でも全く動けず…常識的には高齢10歳馬の衰えと見るべきか。
2回前の休み明け初戦は9人気3着激走、その前の間隔が空いていた場面では18年鞍馬S12人1着・17年高松宮記念16人4着など、休み明けローテでの鉄砲駆けも目立っていた馬で…実際に休み明け初戦よりも叩いてパフォーマンスを上昇させた例はこれまでほぼ無いという馬ですので。
高松宮記念など中京千二重賞では何度か狙ったコトもある様に、当地のタフ馬場とは非常に相性良い馬ではありますが、さすがに本年は手が出ない。


△アウィルアウェイ牝4松山55高野(栗東)
まずは前走シルクロードS時の有力馬診断を参照↓
『昨秋マイルCSを勝利したインディチャンプと同じくトキオリアリティーから派生する一族。
この家系は前掛かり気性とスピード性能が高くて、インディチャンプのソレ同様に距離短縮ローテや内枠で力を発揮できる傾向が濃いです。
実際にアウィルアウェイは内枠で3戦全勝、外枠で1戦1凡走(中枠で4戦2好走)という内枠優勢の戦績傾向の持ち主です。
2走前オパールSは最内枠で脚を溜める競馬ができての激走で、前走京阪杯では中枠で出負けもあって折り合い欠く競馬での敗戦。
内枠替わりならば巻き返しの期待も十分に。』
・・・
前走シルクロードSは枠順は前走よりも少し内になった程度でしたが、乗り替わりの効果もあったのか前走時よりも格段にスムーズな追走で、最後は末脚爆発の勝利。
今回高松宮記念でも外枠配置の場合には課題が残るが、中京向きの末脚が使えるタイプであり、また王者不在の現スプリント路線では直近に名を上げた馬がそのままG1制覇をする例が続いていますので…枠順次第では穴候補。



▽ダイアトニック牡5北村友57安田隆(栗東)
―クリノガウディー牡4○○57藤沢則(栗東)
―ステルヴィオ牡5丸山57木村(美浦)
阪急杯組の3頭。
クリノガウディーは昨シーズンは休み明け初戦で2着好走して、その後はレースを使う毎にレース間隔を狭めてパフォーマンスを低下させていった経緯。気難しいスクリーンヒーロー産駒で、気性的にも間隔を空けてあげた方が走れるタイプ。
前走阪急杯は自滅凡走でしたが、距離短縮しており合わせるよりも、間隔を空けてあげた方がより走れるはずで。

ステルヴィオの過去ベストパフォである毎日王冠2着やマイルCSはゆったりと流れて直線瞬発力勝負で決めたモノでした。
今期は喉の問題もあり短距離路線に歩を進めてきたワケですが、そういう後ろ向きの背景からの路線転向でトップクラスでもやれてしまうというのは考え辛い話で…。

ダイアトニックは前走阪急杯では高松宮記念参戦を見据えて出して行く競馬をして、それでHペース展開不利を受けながらも2着入線は強さを見せた格好。
ただ、更なる距離短縮千二適性は正直未知数な面は否めないですし、昨年スワンSにしても今期の京都金杯にしても阪急杯にしてもレベルが低めの重賞レースで実績を積んできている経緯で、果たしてG1級の器なのかは疑問も。


―ダイメイプリンセス牝7秋山真55森田(栗東)
まずは前走オーシャンS後の次走チェック見解を参照↓
『コノ馬は夏場(6,7,8月)に良績が集中する夏馬で、毎年の様に冬場に戦績を落として夏にピークを迎えるという戦績推移になっています。
昨夏もその北九州記念で9人1着激走がありました。
前走は冬場初戦で坂路で一杯にやって4F52.9止まりでレースでも惨敗でしたが、季節進行と共に調教良化していた今回は掲示板まであと一歩と前進は見せてきました。
季節としては次走辺りからは警戒が必要で、その上で楽にラスト1F12秒台前半の調教時計を普通に出せる様であれば一変を狙える態勢に入ったと見て狙い撃つ手も。』
・・・
まだその得意季節前のシーズンで、調教でも1週前は遅れ調教などで本調子までは窺える今回は軽視が妥当。


―アイラブテーラー牝4和田竜55河内(栗東)
他のほぼ全ての出走馬は馬体重470キロ程はあるのに対して、アイラブテーラーのそれは430キロ程で明らかに小さい。
父トーセンラーも大柄な馬ではなかったが斬れる脚を武器に京都巧者として名を馳せましたが、アイラブテーラーもそれに準えるタイプで…急坂コース替わりと馬場悪化はマイナスに作用しそう。


―ノームコア牝5横山典55萩原(美浦)
まず父ハービンジャーの時点で本質的なスプリント適性は疑問と思うべきです。
それで芝千二で2勝クラス戦以上を勝利したのはこれまでナンヨーアミーコとハッピーアワーとレストンベとカービングパスの僅か4頭のみです。
カービングパスも結局はその後中距離路線に戻ってしまいました。
ナンヨーアミーコとハッピーアワーの場合には、決してスピードがあるからではなくて、気性的な面で仕方なく距離短縮させたのが始まりなので、そういう馬が同距離カテゴリで大きく出世できるかと言えば否でしょう。
ノームコアの場合には別に距離マイルに限界を読み取ってではなく、距離適性手動の短距離路線参戦でもないでしょうから…これがG1で通用というのは考え辛い話です。


★ナックビーナス牝7田辺55杉浦(美浦)
まずは7走前カーバンクルS後の次走チェック馬見解を参照↓
『毎度書いています様に、コノ馬は非内(非イン)の競馬をするとすぐ気を抜きがちで力を出し切るコトが難しくて、それ故に“芝1200にて内(イン)で競馬をすれば過去パーフェクト成績(9の9)”になっています。
2走前スプリンターズSは外の競馬で不完全燃焼…前走はダートで度外視級敗戦…今回は大外枠からの競馬で最後は頭が上がって前を捉えられずの2着。
いい感じで人気を落とす近況になっていると思いますが、それらは全て本領発揮の競馬ではありませんので…(昨年は対抗評価止まりでしたが)今年も高松宮記念で穴で買えるのが楽しみです。』
・・・
7走前オーシャンSは外目枠順でしたが、過去パーフェクト好走パターンの内に付ける競馬ができましたので…例の如くの好走惜敗走を見せてくれました。

6走前高松宮記念では中枠発走から内前に行けずに、道中接触不利もあって外競馬になってしまえば集中できずに投げ出すというは受け入れるしかない負けパターン。

4走前キーンランドCは絶好最内枠からの前年同様の逃げ競馬でしたが、展開不利とバイアス不利があった分だけ粘れず5着という結果。
3走前はあまりに楽な逃げでの勝利、2走前は逃げ切り寸前も全くラチ外からやってきた追い込み馬に足を掬われる形のやむを得ない敗戦、前走オーシャンSはG1級パフォーマンスを発揮した一頭にだけ先着を許す優秀パフォーマンス。

4走前キーンランドC5着で“芝1200にて内(イン)で競馬をすれば過去パーフェクト成績(9の9)”は崩れてしまいましたが、それでもそれも含めてインで競馬できれば必ず強い競馬はしているには変わりありません。

中山巧者のイメージが付いているのと、昨年高松宮記念凡走によって今年は人気薄となる模様ですが…2年以上前から言い続けていますが、芝千二でインの競馬さえできればG1好走級の馬という自論は当然今回も変わりません。


★モズスーパーフレア牝5松若55音無(栗東)
△セイウンコウセイ牡7幸57上原(美浦)
まずは前走シルクロードS後の回顧文を参照↓
『モズスーパーフレアは音無師の「中山コースのほうが勝ちやすいが、オーシャンSから高松宮記念では間隔が詰まり過ぎるからね」との談話の通り、勝算が薄いのを承知で本番高松宮記念を見据えてのシルクロードS参戦という経緯。
セイウンコウセイもココが妙味と見て狙いましたが、陣営の本気度の重心としては叩いた次走高松宮記念であるはずで。
共にメイチ仕上げでもなく、斤量も背負って、内前不利馬場を寸前まで粘る競馬は負けて強しのモノで…共に高松宮記念で同様の競馬を今度は内有利馬場でやれるのならば激走チャンス十分と見ます。』
・・・
セイウンコウセイはこれまで逃げ競馬時には9戦8好走で、唯一凡走は外差し馬場で暴走逃げをした昨年シルクロードSのみ。
3走前スプリンターズSは前に行けずに揉まれる形での大敗で、2走前スワンSは今となっては長い距離千四での敗戦で、前走シルクロードSは上記の通り。
スンナリ逃げ番手競馬でさえあれば実は安定している馬ですが、ただし昨年高松宮記念2着当時よりも相手関係が手強くなっている分でそれで足りるかと言えば微妙…。

モズスーパーフレアのパフォーマンスに最も直結する要素はローテ面とペース面。
ローテ面は、一戦毎に全力を出し尽くす逃げを打つ馬だけに、疲労残り易く間隔は空いてないと危険。ペース面では、溜めて良い脚が使えるタイプではないので、Hペースでもスピードを前面に押し出す形が理想です。
「Hペース競馬[4-1-1-3]>Mペース競馬[2-1-0-5]>Sペース競馬[0-0-0-2]」
古馬になってからHペース競馬で負けたのは昨夏北九州記念4着と前走シルクロードS4着で、共にG1を狙える馬なら無駄に前哨戦で消耗させない音無厩舎らしい前哨戦惜敗で、過度に受け止めるべき敗戦ではありません。
信頼の音無厩舎のG1仕上げで、Hペース競馬に持ち込めるココならば…チャンスはあって良いはずです(中京適性△のイメージでココまで人気落ちるならば能力を買いたいです)。

GⅠで凡走続きのエタリオウ、その理由はどこにあるのか?
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