キムラヨウヘイ NHKマイルCの有力馬診断

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

―ラウダシオン牡3Mデムー57斉藤崇(栗東)
武豊騎手曰く「今回(クロッカスS)は奇跡的に上手く出られましたが、次も同じように出るのはかなり難しいでしょうし、ゲートに慣れてくれれば良いですね」と評されている馬。
前走ファルコンSでも駐立に危うい所もありながら、スタート好調の武豊Jがまともにスタートを切らせた結果での好走でした。
それも含めて一応ゲートを出ている方が多いですが、それらは全てスタート◎騎手騎乗時(福永&ルメール&武豊)というのは注目すべき点。
対して今回はスタート△のデムーロ騎手騎乗というのは危うい要素に。


▽ルフトシュトローム牡3レーン57堀(美浦)
前走ニュージーランドは展開は向いたにせよ強い勝ちっぷりで無傷の3連勝。
ただし、中山マイルのニュージーランドTと東京マイルのNHKマイルCは非直結傾向で、前者の勝ち馬が後者でも好走したのは12年カレンブラックヒルまで遡らないとありません。その亜流G2を制しただけで、NHKマイルCの本命級馬に祭り上げられるのは、ちょっと外部のブランド要素が多分に反映されている感も。

今年のレーン騎手は「スタート不利有り時成績[2-0-1-8](複勝率27.3%)」に対して「スタート不利無し時成績[10-9-3-10](複勝率68.8%)」で、先週スイートピーSデゼルでは見事でしたが、総じて見ればスタート後手を踏んで挽回する競馬での折り合い面に課題を見せている近況です(ただしそれは極めて高いレベルでの話で、それを込みでも並の日本人騎手は圧倒しているワケですが…)。


〇レシステンシア牝3ルメール55松下(栗東)
まずは前走桜花賞時の◎見解を参照↓
『(略)普通に競馬をすれば、チューリップ賞の結果(惜敗)よりは、阪神JFの結果(完勝)にできるはずなのがレシステンシアと見ます。
前走チューリップ賞は如何にも前哨戦らしい余所行きの競馬…もっと言えば前半ペースはしょうがないとしても、直線でも他馬が追い付いてきてからの追い出しではキレ負けは当然で…そんな“ヤラズ”に近いレベルの競馬をしての取りこぼし敗戦だったと言っても良いと思います。

当時予想見解で『メジャーエンブレムも、桜花賞前哨戦は逃げ切り0.8秒差圧勝した後、溜める競馬をした桜花賞では崩れて、再び逃げの手しかないと心に決めて挑んだNHKマイルCで勝利という戦績推移でした。前哨戦というコトでレシステンシア陣営は溜める競馬も示唆していますが、それ次第ではメジャーエンブレムの桜花賞の二の舞結果があっても驚けず』と記しましたが、メジャーエンブレムの桜花賞敗戦が、そのレシステンシアのチューリップ賞敗戦に置き換えられると思います。
阪神JFもチューリップ賞も同じ逃げ競馬には違いありませんが、踏んだペースは全くの別物で、また直線での追い出しタイミングも全くの別物でした。両者のパフォーマンスのギャップからも、やはりスローペースからの一瞬のキレ脚勝負では並みの馬で、持続力を前面に押し出す競馬ならば相当の器というのは間違いありません。

メジャーエンブレムとは異なり、それを前哨戦段階で捉えられたのは収穫で…乗り難しい馬には違いないので、乗り替わり初戦で上記の見解通りの競馬を…と外野が言うよりもそんな簡単な話ではないと思いますが、あの最低の競馬だったチューリップ賞でも3着だと考えれば、やはり高確率でそれよりも大幅にパフォーマンス&着順を上げられるはずなので…その暁には単の期待ができるとの結論です。』
・・・
その前走桜花賞は道悪で逆にHペース過ぎる嫌いはありましたが、それでも一頭別格馬が居たというだけでコノ馬のパフォーマンスとしては十分優秀なモノでした。

今回もルメール騎手騎乗の本番局面ならば、ヤラズ級だったチューリップ賞の二の舞は有り得ないはずで…あとは桜花賞の反動さえ最小限ならば勝ち負けになるべき一頭と見ます。


―ハーモニーマゼラン牡3大野57牧(美浦)
ダイワメジャー産駒らしい持続型で、これまでの2勝は中山マイルでのHペース競馬で挙げたモノ。
未勝利戦時代は東京新潟のキレ勝負で3連敗の後の中山替わりで勝利。
2走前の1勝クラス戦勝利もその特徴を生かしたモノで、前走ニュージーランドTも展開は厳しかったとはいえども自身の領域の競馬での敗戦で…東京マイル替わりの相手強化戦でそれ以上あるとは?


―ストーンリッジ牡3松田57藤原英(栗東)


初戦はデットーリ騎手で勝利、2戦目はシュタルケ騎手で好走、3戦目は岩田望騎手で凡走…ツイートの通り乗り難しい馬だけに、乗り下がりがダイレクトにパフォダウンに直結している感はあります。また、鞍上云々を差し引いても、馬として早くも狂い出しているのは間違いないので…もう旬は過ぎつつある馬として期待はしない方向で。


▽サトノインプレッサ牡3武豊57矢作(栗東)
前走きさらぎ賞は1番人気アルジャンナ・3番人気ストーンリッジという相手関係だったが、ストーンリッジについては上記の通りで、アルジャンナについても見栄えはするものの中身が伴っているかは疑問で。
そこでHペース展開を、早仕掛けアルジャンナの後方で構える有利な形で、最後にディープインパクト産駒らしい末脚を発揮しての勝利というのは、まだ真の能力がどこまで高いのかは読み切れない所もあって…底を見せていない魅力はありますが、大人気となるならば積極的な買い評価までは?


▽タイセイビジョン牡3石橋脩57西村(栗東)
折り合い不安馬。それはペースによるところもありますし、東京競馬場では地下馬道で激しくイレ込むという事情もある模様。
2走前阪神JFと前走アーリントンCは地元関西競馬場だったのと、Hペースで自ずと折り合える競馬になったのが功を奏した印象でした。
3走前京王杯2歳Sでは東京競馬場でも勝利していますが、折り合い面では不安を覗かせながらの競馬でした。
このNHKマイルCでは「連戦ローテ・距離マイル・輸送&地下馬道の東京コース」の3点が克服できさえすれば…。


★プリンスリターン牡3原田和57加用(栗東)
前走は結果が欲しい若手騎手の騎乗だった分か、Hペースを位置を取りに行きすぎる騎乗をされた分で行きたがってしまうロス大の内容。それでもジックリと溜める競馬ができた上位2頭に食い下がる走りができたのは、能力を再認識させられた結果でした。

2走前シンザン記念は凡戦扱いされていますが、それでも次走桜花賞で馬場不利ながら6着健闘したサンクテュエールと互角の走りというのは案外侮れないパフォーマンスで。

例年みたく強力皐月賞&桜花賞組がほぼ不在という今年のマイル戦線勢力の相手関係ならば、足り得る妙味馬と見ます。



―ラインベック牡3津村57友道(栗東)
母アパパネのネームによって過大評価され続けている現状。
5走前中京2歳Sは2着以下は未勝利馬ばかりという実質未勝利クラス戦レベルの一戦で、4走前東スポ杯3着も2着馬アルジャンナよりも0.7秒差付けられた完敗で、3走前ホープフルSも2走前若駒Sも全く大したコトのないパフォーマンスでの敗戦。
実態よりも見栄え良い馬柱(着順)に収まっている分だけまだ一部で期待を集めるのでしょうが、冷静にパフォーマンスを評価すれば何てことも無い一頭としか言えません。


―ボンオムトゥック牝3田中勝55高橋亮(栗東)
NHKマイルCの特注血統クロフネ産駒(デピュティミニスター系)という背景から一部で穴人気しそうですが…超Hペースで展開向いた前走アーリントンCでも4着止まりでは力の差は否めずで。


▽ウイングレイテスト牡3横山武57青木(美浦)
まずは朝日杯FS時の有力馬診断を参照↓
『松岡騎手が付きっ切りになっている一頭。
前走デイリー杯2歳出走前には「この馬の場合、デイリー杯が目標ではなく、その後のGI、そして来年の春と目標がありますからね」と高く将来性を評価していました。乗り替わりの心配が要らない分、そんな目先よりも将来重視の仕上げ方をされながらも、重賞好走した辺りは、馬の高い性能が読み取れます。
今回も「現状ではGIへ向けてビシビシと攻める調教はしない方がいいと思います」「完成された時ならGIを勝ちに行く攻める調教をしてもいいのですが、グレイテストはまだその時期ではありません。」「ウインブライトも若いころは勝負にいきたかった気持ちもありましたが、しっかり我慢させて、色々教えて素質が開花しましたからね。グレイテストもそういうふうに育てていきたいと思っています」と、ウイン×松岡騎手の傑出馬ウインブライトと重ねて、将来性重視の姿勢は変えていません。そのウインブライトも3歳春まではトライアルまでの馬でその後に大きく花開いた経緯…それに準える馬とすれば2歳G1での激走まではどうだろうか。』
・・・
2歳時朝日杯FSは将来性重視の姿勢だった分&展開不利もあって届かず、2走前ファルコンSはミナリク騎手騎乗だった分でパフォーマンを落とした面&バイアス不利もありました。そこからジワジワと成長させて、近2走とは異なり展開利を手に入れた前走ニュージーランドTでは足りたという経緯。
それでも松岡騎手が重ねるウインブライトの本格化時期を思えば、ウイングレイテストもまだ3歳春期に一気に上に来る馬ではなさそうで。
ただし、上昇期に強い(昇級初戦で強い)スクリーンヒーロー産駒の血の怖さはあって、今年で言えばクリノガウディー・インカーネリアン・ウインマリリンなどと同様に、相手強化を物ともせず跳ね除けてくるパターンに嵌まる可能性も僅かに。


―ジュンライトボルト牡3藤井57友道(栗東)
他馬を気にする面があって、馬群内での競馬に難があるタイプ。それで4角を中外で回った時に5戦5好走、内で回った時には前走アーリントンC6着も含めて3戦3凡走という特徴的な戦績傾向が生まれています。
今回もまずはスンナリと外目を通る競馬をしたいところですが、それでもフルゲート多頭数激戦で恵まれる競馬は想像し辛いトコロで…。


―ハーモニーマゼラン牡3大野57牧(美浦)
ダイワメジャー産駒らしい持続型で、これまでの2勝は中山マイルでのHペース競馬で挙げたモノ。
未勝利戦時代は東京新潟のキレ勝負で3連敗の後の中山替わりで勝利。
2走前の1勝クラス戦勝利もその特徴を生かしたモノで、前走ニュージーランドTも展開は厳しかったとはいえども自身の領域の競馬での敗戦で…東京マイル替わりの相手強化戦でそれ以上あるとは?


▽ギルデッドミラー牝3福永55松永幹(栗東)
3走前こぶし賞では、激しく行きたがるのを鞍上が懸命に抑えていたシーンが目立っていた通りの折り合い難馬。また兄ストロングタイタン同様に他馬を気にする面もある馬です(ちなみにもう1頭の兄は大不振に陥っているミラアイトーンであることからも、気性難の血統は窺えてきます)。
前走アーリントンCでは、その折り合い難はHペースによって、その揉まれ弱さは少頭数立て外枠で粗を出させずにあそこまで走れた印象です。
前走比ではペースが緩んで&頭数大幅増となるココでも本領発揮できるかは微妙な所で。


▽サクセッション牡3横山典57国枝(美浦)
前走スプリングSは距離延長とスローペース替わりが堪えたとはいえども、上位2頭に対しては完敗の格好の3着止まり。
その前も空き巣重賞のデイリー杯2歳Sと空き巣OP特別のジュニアCで見栄え良い結果を収めただけの馬で、ここはやや過剰人気感ある場面と見ますが…。


―シャインガーネット牝3田辺55栗田徹(美浦)
2走前フェアリーSでは距離マイルで掛かり気味の追走と、鞍上曰くソラを遣って伸び切れずの敗戦でした。
前走ファルコンSは距離短縮千四が効果テキメンだった模様で、尚且つHペース競馬で差す形に回ったことで最後まで走り切っての勝利。
それでも距離千四Hペースでも折り合い完全ではなかった辺りは、父オルフェーヴル産駒らしい気難しさも垣間見えて…この東京マイルの舞台条件を乗り越えるのは楽ではなさそうで。

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