キムラヨウヘイ JBCスプリントの有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽キタサンミカヅキ牡8森泰57佐藤賢(船橋)
東京盃を連覇して乗り込んでくる地方馬大将格。
その昨年東京盃はHペースを利して、本年東京盃は内有利馬場と前残り展開を利しての勝利で…共に絶対的な力を見せた競馬ではありませんでした。
長距離輸送と、中央ダート適性(中央在籍時にも不振傾向あった京都ダート適性)と…乗り越えるべき点は少なからず。


△ナックビーナス牝5大野55杉浦(美浦)
まずは前走スプリンターズS7着後の次走チェック馬見解を参照↓
『コノ馬は非内(非イン)の競馬をするとすぐ気を抜きがちで力を出し切るコトが難しくて、それ故に“芝1200にて内(イン)で競馬をすれば過去パーフェクト成績(9の9)”になっています。

今回スプリターズS有力馬診断でも『「内の競馬(馬群の内という意味とラチ沿い逃げの意味)」が叶うかどうかが最たるポイントになるでしょう…仮に再びハナを奪いに行くとしても、同型揃うココで高確率でそれが叶うかと言えば否ですし、またそれが無理だった時にモレイラの騎乗パターン的に内の競馬を選択してくるのか…もう一丁というのはそこまで簡単な話ではないと思います』と見解を記しました。

もしそれらの意思疎通があればまた違ったはずですが、前走キーンランドCでの逃げ戦法にしても調教師は驚いたとの旨をコメントしていましたし、今回レース前にも調教師は「英語ができないからモレイラと話していない」「どうやって乗ってくれるのか楽しみ」「ジョッキーの判断になると」と全権委任の姿勢でした(もちろん、ゼロ意思疎通ではないでしょうが、基本はモレイラ任せだったのは明らかです)。

前走キーンランドCではラチ沿い逃げ競馬での激走を決めましたが、今回は外3頭目のポジショニングでバランスを崩してなのか併せ馬の形が解除されるとズルズルと急失速での7着…これは上記の凡走パターンの競馬でしたので大一番で勿体ない負け方とも言えるはずです。

モレイラ騎手は間違いなく国内最強級の騎手ですし、基本的には特に縛りを設けさせないでお任せオーダーをした方が勝率も上がるはずですが…ただしナックビーナスの様に力を出し切らすのにピンポイントの策が判明している馬でも、闇雲にも見える全権委任をしてしまったのは果たして正解だったのかと言えば・・。』
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基本的には芝馬>ダート馬の力関係ですから、その芝での一線級馬の参戦というのは警戒したいトコロです。
昨年の東京盃9着凡走は出遅れて後方を回って来ただけという競馬で…それは上記のコノ馬の特徴的にもレースを投げ出しても無理は無いという競馬・敗戦でした。

これの本当のダート適性の有無を指摘するのは難しいのですが、芝での一線級実績にも敬意を表して…パーフェクト級実績を持つ内枠内競馬となるようならば可能性を消したくない一頭です。


―ウインムート牡5内田博57加用(栗東)
前々走プロキオンS時の中京ダートは内有利バイアス発生下。
その中で行き切れたマテラスカイと、行きたかったドリームキラリに先制できたウインムートが絶好の内1&内2のポジショニングを確保できたのが結果にも大いに反映された結果だった(過信禁物)。

前走オーバルSを見てもスンナリ逃げ番手競馬ができるか否かが大きなウェートを占める馬で、それは同型多数且つ距離短縮千二では見込み辛い話である。

また、良績は夏場に集中している馬で、昨年も夏場3連続好走の後に秋冬失速した経緯からも、本年もこの時季に上げて来られるかは?


―サクセスエナジー牡4松山57北出(栗東)
これまた砂を被るのを嫌がるクチで、今春に地方交流重賞戦で連勝を収めましたが、中央では昇級後に4着と6着でまだ好走歴が無いという馬です。
このレース条件と、出脚劣る距離千二条件では苦戦濃厚かと。


▽セイウンコウセイ牡5池添57上原(美浦)
7走前スプリンターズSについては内枠から前に行けずに揉まれたのも堪えたというのと、そもそも状態面で水準まで達していなかったという話(高松宮記念はTMS◎・スプリンターズSはTMS▲)もありました。

6走前スワンSも今となっては距離千四適性がどうだったのかはモチロン関係あるとしても、それ以上にTMS×というのが目に付きました。それは3走前京阪杯も同様で、5番人気でTMS×ってのはやはり何かあるというコトですので。

そして5走前シルクロードSではTMS△で2着好走…本調子ならば高松宮記念G1完勝歴ある馬ですので勝って当然の馬だと思いますので、その意味では近2走よりは復調も本調子手前で恵まれた競馬での2着止まりというのは…ものすごい都合良い解釈をすればTMS情報の通りの結果とも言えなくは無いです。

そして4走前高松宮記念ではTMS×で6着止まり、3走前京王杯SCでもTMS△で5人12着人気裏切り凡走、2走前函館SSでは近1年では最高のTMS▲で1着激走、前走スプリンターズSではTMS△で12着凡走という経緯。

まとめると 「高松宮TMS◎5人1着→スプリンターズTMS▲3人11着→スワンTMS×3人14着→京阪杯TMS×5人7着→シルクロードSTMS△5人2着→高松宮TMS×5人6着→京王杯×5人12着→函館SS▲3人気1着→スプリンターズS△8人12着」というTMS連動馬と見做せるでしょう(そりゃ完璧な一致などあり得ませんが、十分に大まかには一致していると見えるはずです)。

ですので、今回もソレを最重要ファクターとして活用させたい場面と見ます(現段階では不明なので、週末に掲載します)。


ただし…前々走函館SSは逃げ切り勝利を収めたものの、前走スプリンターズSは同型多数でハナから逃げ争いに白旗の外4のポジショニングで調教でも見せていた様に気難しさも出して他馬を追い抜く姿勢も見せずの敗走でした。
それを見る限りでは精神的な面にも問題が見えますので、仮にTMS上昇でも私の予想として同型多数で揉まれる可能性高そうなココでは重い印は用意しないつもりです。


★キングズガード牡7藤岡佑57寺島(栗東)
ウインムートの欄でも書きましたが、本年もプロキオンSは内有利バイアス下でのレースでした。

一昨年夏と昨年夏の中京ダートでの馬場急回復過程では極端な内有利傾向が出ていましたが、本年プロキオンSの日の場合にはそれとは違って最後まで不良馬場のままでしたので“馬場回復過程”というのは限定的だったと思いますが、それでも11R12Rについては見た目から馬場の内と外とでは砂の黒さ(水分量)が違いました…やはりそこでは内の黒い部分を通れるか否かが一つの要素になっていた印象でした。

そこでのキングズガードは…当時は得意戦法イン差しを見込んで◎を打ったのですが、外に持ち出す選択がされたせいで直線の全てを白い部分を通る競馬になってしまいました。
それで2着まで0.2秒差ならば…一昨年や去年ほどの顕著な内有利傾向があったとは言い切れませんが、それでもその小差を覆す程度の有利不利はあったはずで…そのコース取りでの馬場バイアス一つで好走まではあったはずと見ます。

前走室町SはこのJBCスプリントを前にした見え見えの叩き台…陣営に言わせれば試走レースでした。そこでの4着は物足りぬ結果ですが、結果は度外視すべき状況もありました。

3走前4走前の地方交流重賞は共にバイアス不利の競馬で連続2着。
5走前フェブラリーSは6着健闘。
6走前根岸Sはバイアス超不利の競馬での凡走。

距離短い感は否めない距離千二は鍵ですが、やはり馬の資質としては大分上位に据えたい近走戦績馬ですので…距離で嫌われるようならば面白い一頭かなと。

━━━(前編)はこちらに掲載しています。