天皇賞秋の有力馬診断の総まとめ(後編)

※印は[★激走候補~△やや有力~▽やや軽視~―無印」を表します

▽ミッキーロケット牡5和田竜58音無(栗東)
そもそも特殊コース条件と特殊季節で能力よりも適性・状態が問われるのが宝塚記念ですが、本年宝塚記念も雨馬場と内有利馬場バイアスもあってそれが顕著なレースだったと思います。
それを最も味方にできたのが1着ミッキーロケットと3着ノーブルマーズ。
ミッキーロケットは調教なんかでもモタれる面は相変わらずある馬ですが、右回りでも直線ラチ沿い…それも内有利馬場のラチ沿いを確保できたのが相当大きかったはず。
特に相手として迫って来たワーザーは外枠外差し競馬の不利な形でしたので、そんな完璧な騎乗から一歩でもズレていたら勝利までは難しかったでしょう。

それ以前の好走歴も洋芝若しくは渋化馬場がメイン…特殊条件の宝塚記念で一世一代の大駆けをした馬を東京良馬場G1で買うワケには…。


▽ヴィブロス牝5福永56友道(栗東)
ラストシーズンとなる今期は天皇賞秋→マイルCS→香港マイルの全3戦を予定…その初っ端の秋天でどこまで走らせるかというのが第一疑問点。

昨春シーズンも好走はドバイだけ、昨秋シーズンも結局は府中牝馬Sだけ、今春シーズンも中山記念と宝塚記念は駄目でドバイだけ…1シーズンで1度しか好走できていないorさせていない近況。
また、4歳以降に御せたのは結局はデムーロルメールだけ…。
イメージ以上にストライクゾーンが狭い馬という印象です。

前走宝塚記念での敗因としては条件が重すぎた&掛かったという2点が大きかったはず。
渋化馬場の阪神二二というのは本来牡馬に分があるタフな舞台条件で、それで折り合い苦労してしまっては伸びきれずも止む無しと思えます。


4走前エリ女凡走については外枠先行策で掛かったのが全てでしょう…これまでの激走歴はインから器用に捌けた場面だっただけに、初距離二二で外目競馬で掛かるという真逆の形は如何にも厳しかった印象でした。
3走前中山記念は破格賞金ドバイへの叩き台という一戦で、そこで余力を残した結果というのは既定路線だったとの印象もあります。

それでもドバイターフではキチンと結果を出した以上は、やはり力を持っている馬には違いありませんが…果たしてその狭いストライクゾーンでみ繰り出せる本領発揮を福永J騎乗の秋初戦で期待して良いのかと言えば…?


▽キセキ牡4川田58中竹(栗東)
前走毎日王冠は逃げ切ったアエロリット×モレイラの後を追走して、そのまま粘り込んだという競馬。
一桁着順馬の中では最も上がり遅い部類ながらも楽々前残りというのは、やはり展開利という側面は大分強いです…昨年神戸新聞杯&菊花賞当時の能力値まで戻っているかは懐疑的。
今春は主に気性面の問題あって結果を残せなかった経緯で、それがスローペース2番手追走を難なくこなせた辺りは収穫ですが…それが果たして連戦でも継続できるのかは何とも言えないトコロです。


▽サングレーザー牡4モレイラ58浅見(栗東)
3歳春までは中距離克服の教育で出世が遅れた経緯で、折り合い面を気にしなくて済む距離マイル以下転向後から快進撃という経緯。
距離1400から距離マイル戻った昨秋マイルCSでは折り合い不安を投げかけたが、結果的には宥められる程度で気性面でも大いに成長をアピールした激走結果だった。
ただし、そのマイルCSにしても3走前阪神カップにしても2走前マイラーズCにしても、速めのペースで差し追い込み有利展開で、折り合い重視策が良い方に転んでの連続好走。

前々走安田記念でも十分速めのペースだったものの、少し位置を取りに行った分で折り合い面で少し勿体ない競馬に。

前走札幌記念でも折り合い面で怪しい所はゼロではなかったですし、それでも内枠・Hペース・道悪という折り合い味方材料が揃っていただけに…普通の距離二千条件でも必ずしもとまでは言えないです。

つまりは、距離マイルHペース寄りでも差し競馬をしようと出して行くと粗を見せる位の折り合い難で、距離二千でスローペース必至のココは簡単ではない場面だろうと。


▽サクラアンプルール牡7田辺58金成(美浦)
まずは昨年の札幌記念1着後の回顧文を参照↓
『大外枠からなし崩し的に脚を使わされた前走函館記念から、馬場状態も状態面も鞍上2戦目面でも枠順面でも何から何まで条件が好転…それを全て生かし切るようなロス無いイン立ち回りからの上位馬の隙を突くような一差しだった。
この馬は春にもG1前哨戦G2中山記念では2着激走しており、その先は続かなかった経緯の持ち主。やはりステップレース的な位置付けのG2レースだからこその激走という感は否めなくて、これを秋G1の舞台条件でやれるのかと言えば疑問が大きい(時計面や直線の長さ等)』
・・・
コノ馬については毎度書いています様に、主に短い直線コース・小回りコースでこそ生きる一瞬の脚が身上という馬。
一言で言えばぬるま湯レースで一瞬の脚を使ってこそ本領発揮という馬です。

前々走函館記念は内枠からそれを引き出すのが上手い田辺J騎乗とも相俟っての上位進出でした…ただしラストには脚が鈍っていた辺りはやはりこれが限界という競馬でもありました。
それについては上記の通りで、軽いステップレース的な位置付けでこそ足りる末脚の質であり、やはり更に底力を求められて云々には少し物足りない印象はあります。

前走札幌記念では逆にそれを早めに消費してしまい…視覚的にも機動力抜群っぷりは目立ったと思いますが、ああなれば脚はすぐに止まるのがコノ馬です。

今回のG1・外回りコースという条件だけで言えば良いとは言えませんが、今の東京芝は極端な上がり勝負が頻発しているのと、逃げ馬不在のメンバー構成で…嵌まってくる可能性は少々。

参考:前後半4Fレースラップ比重別成績(OP昇級後)
白富士S 2着 4.9秒後傾
中山記念 2着 4.1秒後傾
大阪杯 13着 0.5秒後傾
函館記念 9着 0.3秒前傾
札幌記念 1着 0.8秒後傾
天皇賞秋 8着 0.0秒
有馬記念 16着 1.4秒後傾(※致命的不利でnc相当)
中山記念 4着 0.7秒前傾
日経賞 3着 1.4秒後傾
函館記念 2着 0.6秒後傾
札幌記念 6着 3.2秒前傾
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▲サクラアンプルール
一番の穴目で拾いたいのはコノ馬です。
まず今の府中芝はスローペース競馬頻発傾向であり、そして今回天皇賞秋もどう考えてもペースが流れそうになりメンバー構成です。
極悪馬場で施行の昨年を除いた近3年の天皇賞秋は前半3F36秒台中盤から上がり3F33秒台の勝負でしたが、本年の場合には更に上がり特化のレースになっても驚けません。
スローの秋天は毎日王冠で高速上がりを使って好勝負した馬が大きなシェアを占めます。
〇〇〇〇〇は毎日王冠ではありませんが、同じく距離千八の前哨戦G2レースの超スローペース競馬で強敵相手に激走して経歴があります…外回り直線は鍵になりますが内枠を引き当てて直線で一脚に賭ける勝負ができれば可能性はあるかも知れません。


★レイデオロ牡4ルメール58藤沢和(美浦)
好みの重賞・レースがハッキリしている藤沢厩舎…現役調教師の中で天皇賞秋最多勝という秋天を知り尽くすと言っても過言ではない藤沢和師ですが、その多くは当然の様に毎日王冠などステップレースを経て挑んでいるワケですが、実はその段階での戦績は寧ろ振るわないと言っても良い位の数字になっています。

“ステップ戦では1人気を裏切る好走未満→人気落ちの天皇賞秋激走”は厩舎の十八番パターンであるとも。
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●藤沢厩舎の重賞別成績(00年~18年8月)
札幌記念[0-0-3-13](連対率0%)
セントライト記念[1-1-1-17](連対率10%)
オールカマー[1-1-1-10](連対率15%)
毎日王冠[1-1-1-14](連対率12%)

天皇賞秋[4-3-2-13](連対率32%)
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レイデオロの場合にはそのステップレースであるオールカマーでも1着好走しましたが、“にも拘わらず好走した”という方の捉え方をして良いのではないでしょうか。

特にレイデオロの場合には3歳春は2戦のみ、3歳秋も2戦で早々を切り上げざるを得なかった通り、体質的に連続勝負に難がある馬です。
前走オールカマーは調教過程からも大分秋G1を見据えていた感がありましたが、それでも力で捻じ伏せて見せたのは馬の能力を評価する他ありません。

バルジュー騎手に壊されかけた気性面も間隔を空けてリカバリーを見せたのは大幅プラス要素ですし、ココは順当に好走が望める場面と見ます。



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