今井雅宏「重賞ステップ解析」

今井雅宏の重賞ステップ解析が今週よりリニューアル!
リニューアル記念の今週は今井氏が得意とする長距離戦の菊花賞!

重賞ステップ解析とは

今井雅宏氏が編集部と過去のレースを振り返る対談形式のコラム。
ときどき話が脱線してしまうことも?
そんな馬券的中へのヒントが盛りだくさんの今井氏のレース解析の一部を毎週木曜日になんと無料公開!

さらに2年前の「レース解析」が土曜日、3年前の「レース解析+ワンポイントアドバイス」が日曜日に配信される「厳選!勝負レース」内にそれぞれ掲載されています。

さらなる解析はこちらから!

通常レース当日午前1時より配信開始!



編;いよいよ、これまで伝説予想を繰り広げてきた菊花賞ですよ!

今;そうだね~。

編;一昨年は9番人気のレインボーライン本命でズバッと当てましたし、他にも本命対抗で94倍を当てた年とか、いろいろ衝撃の予想がありました。ということで、今回も期待してますよ~。菊花賞に限らず、今年も2500mの目黒記念で万馬券当てたように、長距離重賞は滅法強いですもんね。

今;心身の影響が出やすいんで、高配当が当たりやすくなるという構造があるからね。まぁ目黒とかアルゼンチンとかみたいにハンデ戦なら、より嬉しいわけだけど。

編;確かに(笑)。で、その前に先週の振り返りですが、秋華賞はアーモンドアイの完勝でした。

今;S君は2点目での的中だから、余裕だね。

編;超ハイペース想定が、逆にスローではどうしようもなかったですよね?

今;あれだけ先行馬が揃っていたし、みんな行くっていうコメントだったからハイペース以外考えていなかったけど、びっくりするくらいのスローだったね。あれだと逃げた馬と、差し馬は内枠以外には物理的に用なしの競馬に普通はなるよ。アーモンドアイを除けば、4枠以降の差し馬では7着のプリモシーンが最先着だろ。次がゴージャスランチだし。ハイペース外差し予想ではどうにもならないよ。

編;ということは、4枠以降の差し馬なのに勝っちゃったアーモンドアイは、やっぱり強すぎでしたか?

今;あの競馬だと、他の馬ならどの馬でも間違いなく5着以下に惨敗の流れだったからね。レベルがあのメンバーでは数段違う上に、休み明けで鮮度も一番高いという、M的にも手に負えない状態だったから。

編;それにしてもアーモンドアイ本命はびっくりしました。GⅠで1番人気本命は一体いつ以来ですかね?結果、やっぱり勝ちましたが、余程の自信がありましたか?

今;本命に出来る馬がいなかったというのが正直なとこだ。他の馬を本命にしたら、自分に嘘をつくことになるからね。穴予想が中心でも、さすがにそれは出来なかった。もちろん想定のハイペースで勝つのはこの馬だし、仮に想定が外れてスローになっても速い上がりが出せる差し馬だから来るだろうということではあった。想定の超ハイペースになって逆転出来る馬を、いろいろラップと位置取りで計算したけど、アーモンドアイに何かしらのアクシデントがない限り1頭もいなかったよ。勝つ確率のあまりに低い馬を本命にするわけにもいかないから仕方ない。それと超ハイペース差し競馬の場合は、先行していた馬が追い込むと効果的なんで、そういう騎手の選択に比重が高い馬を選ぶのもギャンブルだったし、その可能性が高いのが横山典くらいだったしね。あと超ハイペースになったら、もっと異端で重い血統で、ストレスがなく、かつCないしS系が理想だけど、そういう血統構成の馬が、出走馬にそもそもいなかったこともある。むしろロードカナロアの方がそういう血統や位置取りショック面でも優秀だったんで、手に負えない。重くてタフな血統で追い込みに回る位置取りショックを掛けてくる確率の高い馬がいたら迷わず本命にしていたし、実際超ハイペースになったら、その馬が来ただろうメンバーだったけどね。そういう馬は残念ながら出走していなかった。まぁ、結局スローだから、そういう馬がいなかったぶんだけ、アーモンドアイしか選択肢がなくなって、逆に良かったのかもしれないけど。どうしようもないね。


編;では早速菊花賞の分析に入りましょう。昨年は神戸新聞杯2着後のキセキが勝ちましたね。

今;神戸新聞杯連対馬は、18頭中11頭が3着以内だよ。距離が600mも違うからね。同距離前哨戦の皐月賞に対する弥生賞とか、ダービーに対する青葉賞なんかよりはカテゴリーストレスがないぶん、前哨戦としては当然期待値は高くなる。とはいえ、2番人気以内の人気馬でも6頭が消えているように、安心も出来ないけど。前走が2番人気以内の場合は9頭中8頭が3着以内に走っているよ。やっぱりいつものように激走でなかった馬なら心身疲労が少ないから有利だね。前走2番人気以内で唯一来なかった馬は、前走が3角13番手だった。Mの基本として、極端な脚質で好走した場合はストレスがきつく残るからね。もちろん、極端な脚質だと、流れに嵌まるときは嵌まり切っちゃうっていうこともあるから一概には切れないけど、リスク要因になるのは確かだ。
 前走3番人気以下で連対した馬だと、9頭中3頭が3着以内と率が落ちる。当日2番人気以内の人気馬の5頭中4頭が消えているから。来た3頭の2走前は、宝塚記念15着とダービー11着と準OP1着。来なかった馬は全馬2走前が一桁着順に好走していた。つまり、そこそこトップクラスを善戦しているような馬が相手や展開に恵まれて人気以上に頑張って前哨戦を連対しているようだと、蓄積ストレスで怪しくなるということだね。あと2走前が1000万だった馬も2頭とも消えている。鮮度だけを頼って激走し過ぎた馬も反動が怖いかな。まぁ2走前が1000万や重賞好走馬でも、前走が特段激走でもなかったのなら、好走していてもあまり問題はないだろうけどね。あと、前走の4角が10番手以降だった馬は4頭とも消えている。極端な脚質で激走したのと、「追い込み馬の距離延長」というMの逆ショックも響いた形だ。前走4角7番手以内なら、4頭中3頭が来ているから、安定感は高くなるよ。
編;2着のクリンチャーはセントライト記念9着後の10番人気でした。
今;中山で行われたときのセントライト記念6着以下馬は、19頭中1頭が3着以内。つまりこの馬だね。昨年は不良馬場だったから、特殊なケースにはなる。重以上の年だった馬は過去に2頭しかいないからね。一応データを見てみると、同馬は前走2角で3番手と先行していたけど、今回は2角11番手と後方から捲っていった。これはMの基本形だよね。

編;相手強化で流れが厳しくなって、後ろに回る位置取りショックですね。

今;やっぱり急に巻き返すわけだから、位置取りショックはあった方がベター。それが極端なら極端なだけ、流れに嵌まれば激走しやすくなるわけだしね。

編;3着のポポカテペトルは2200mの1000万1着後の13番人気でした。

今;2200m以上の1000万連対馬だと、24頭中5頭が3着以内だよ。人気薄が中心のデータだから、穴で怖いよね。来た5頭は前走3角4番手以内。1000万の弱い相手の長距離で後方だったような馬だと、GⅠに向かうにはS質の活性化が弱いから。ある程度動いていた馬がベターだ。昨年11番人気4着に激走した馬も3角5番手で、4角では3番手だったよ。あと不良馬場だった年は3頭中2頭が3着以内で、全馬4着以内に好走している。特殊バイアスが発生したときも要注意だ。それと前走で0.2秒差以上付けて勝った馬は、8頭中4頭と半分が来ている。楽勝で疲れが少ないというのもあるけど、先行馬で圧勝してくるということは、一時的にでもS質が表面化している状態ということだよね。そういう勢いがある馬が、そのまま一気に強引に動いて押し切るというパターンが多い。だからタイプ的にもS系がベターだ。C系でも良いよ。ポポカテペトルはL要素が強いけど不良馬場だったからね。馬場が悪化すると、ばらけて揉まれずにパワーが活かせるから、量系、ないし体力タイプは有利になりやすい。これは別に菊花賞に限った話でもないけど。