今井雅宏「重賞ステップ解析」チャンピオンズC

ジャパンカップを終えて、今井雅宏は何を思う?
世紀の一戦と呼ばれたレースを振り返り、今週行われるチャンピオンズCを解析。
昨年は本命のゴールドドリームが南部杯から距離延長で2着と好走したが、今年はどうだ?

重賞ステップ解析とは

;今週の重賞は京都2歳Sで3番人気の本命が勝って馬単1630円3点目的中で、阪急杯は縦目だったので馬連が6点目的中でしたね。

;京都2歳Sは、本命がちょうどよく絞れての勝負レースで、単独の本命でもあるから、目一杯単複も勝負して良いよ。重賞だから、単勝買っても、オッズにはほとんど影響しないし。

;日曜の勝負レースでは、10番人気の本命が激走して単勝24倍が当たりましたが、これなんかは阪神8Rで人気薄ですから、みんなが単勝買うと落ちちゃうので、馬単総流しが良いですよね?

;馬単でも222倍だからね。総流しの中でも3点目までを厚めで、あとは準勝負レースなら取り上げてる残りの馬、勝負レースだったら66点までに流すと良いよ。ただ、それだと変なのが展開に嵌まって2着に突っ込んで来ちゃうかもしれないんで、単勝の代わりとしての馬単流しなら、総流しで全馬押さちゃった方が安心かな。

;今回でしたら、66点までなら8点買いなんで、222倍だと単勝買うよりは儲かりますね。

;総流しだと単勝の方が上だけど、それでもそこまで差があるわけでもないし。本当なら、相手も当日の馬体重とオッズもしっかり見て、流す配分を変えれば理想だけどね。今回の2着馬は、間隔開けての先行馬だから馬体増は気にしなくて良いし、想定オッズより倍近くも人気ないんで期待値も高いから、少なくとも65点の馬よりは厚めにという感じでね。

;結局当日の人気だと7位評価で、1位-7位決着で2万馬券なら十分ですもんね。

;あと本命も、当日は想定オッズより倍以上も人気なかったから、これはかなり美味しいんで、勝負度合いは増すよ。

;「増えすぎ注意」で増減無しでしたね。

;予想してるときは鮮度が高いから少し増えていても大丈夫ということで「増えすぎない方が良い」だったんだけど、レースのポイント書いてるときにはそれ書いたの忘れて「絞れた方が良い」ってしたけど、いずれにしても当日は増減無しで想定オッズよりも倍以上も人気薄なら、勝負だよ。逆に同じように人気薄だと思って対抗にした馬は、1番人気だったからね~。

;あれはびっくりしました。

;当日のオッズを見て、対抗から予想しないで良かったと思ったよ(笑)。人気薄なら面白いけど、1番人気でハービンジャーの「芝からダート」を本命なんて、ちょっと考えられない話だからね~。
もう一度、Mの馬体重理論をここで整理しておこうか。まず基本として、
※間隔開いていたら増えて、詰まっていれば減るのが良い。
※C系は絞れて、L系は増えるのがベター。
※連チャン期とか勢いのあるS系は多少の増減は我慢する場合もある。
※逃げ、先行は多少太めでも大丈夫だけど、差しは太めにシビア。ただかなりのハイペースなら、多少太くてもキレは要求されないんでパワーでこなせることも多い。
※そのステージでの好走キャリアがあるような馬は馬体重によりシビアで、ステージキャリアのない、つまり鮮度の高い馬はリズムが流動的なので多少我慢する場合もある。
という辺りが基本だね。もちろん、前走がそれまでと比べて太かったか細かったかで、基礎的な部分は決まるよ。その本来の基礎適正馬体重から、今の項目を差し引きして調整するという感じだね。今回のアサカディスタンスで言うと、2走前が勝っているんで2走前が基礎で良いけど過去最高馬体重なんで現在の基礎の上限に近いところにある。だから増えすぎると少し怖い。でも、今回のクラスは2戦目で前走は9着なんでステージキャリアはほぼゼロで、馬体重の許容範疇はやや広い状態。しかも2走前が約一年ぶりなんで、今はリズムが極めて流動的で、生命リスム、すなわち馬体重の振幅も大きい状態だね。それでもって非C系なんで多少増えても大丈夫だけど、差し馬のぶん増えすぎるとどうかで、そこも相殺になる。想定されるハイペースなら、差し馬でもより馬体増は我慢しやすい。ということで、「多少増えてもぎりぎり我慢するだろうけど、理想は2キロ減くらい」というのが、適正馬体重になるよ。

;それで、「増えすぎない方が良い」になったわけですね。

;もちろん、同じ馬でも次走はまた基礎馬体重は変わるよ。今回のリズムに限っての馬体重だね。馬体重は絶対的なものより、前走との差が重要になるから。あと気になるときは、パドック映像で実際に前走が太かったのかどうかチェックしておく場合もあるけどね。ただ、これは見た目の評価、つまり筋肉量とかの問題で、次走は同じ馬体重でも筋肉量が増えて締まって見えることも多く、客観的に伝えるのは難しいんで、予想では主観的で不親切だと思うんであんまり書かないよ。ちなみにアサカディスタンスは、見比べられる人はVTRを見てみると誰でも分かるレベルで違うけど、増減無しでも、前走より今回の方が太めはなくなっていたよ。

;ところで、実は僕、小牧太でやめちゃったんですよ~。失敗しちゃいました。

;まぁそういうのは、Mとは直接関係ないんで仕方ないよね(笑)。騎手の判断は人それぞれだから。「揉まれ弱いから外差し競馬なら」の解説で、その通りに乗ったでしょう?

;ええ。4枠なのに「外差し競馬なら」という解説でしたから不思議に思いましたが、本当にそう乗って勝っちゃいましたね。

;少頭数で速い流れっぽいメンバーだから、縦長なら意識すれば誰が乗っても外に出せる。コメントから陣営も揉まれ弱いことは知ってるから、前走の失敗を踏まえてもちろん今回は外に出すはず。ルーラーシップ産駒だから、それで正解だね。

;本当にペース読みが当たってその通りに乗ると、とんでもない人気薄でも来ちゃいますよね。

;阪神ダートは、先週話したようにフラットだったから、余計にね。

;あと単勝12倍の本命が勝って万馬券が当たったオリエンタル賞ですが、「10キロくらい絞れて欲しい」で2キロ増ですが、あれはどうですか?あれだけ人気なければ買った方が良いですかね?

;実際、少し太かったよ。まぁ7頭立てなのに単勝12倍の人気薄なら、2キロ増くらいなら買った方が良いけど、遊び程度が無難だよ。僕も、予定の4分の1くらいだったんじゃないかな。

;さっきの馬体重の理論からすると、「先行馬で、古馬2戦目の鮮度があって」というのは、馬体増でも大丈夫ですかね?

;しかも前走が10着惨敗だから、ステージストレスはゼロになるし、キャリア自体も少ない馬だから、馬体重は流動的だね。

;タイプはC系ではないわけですよね?

;強いて言えばS系かな。だからより馬体重は流動的になる。ただ前走が太くて中2週になるんで、やっぱり2キロでも増えて欲しくはないよ。増えた以上は、もう行くしか選択肢はない。Mの馬体重論的にも、逃げちゃえば、それほど馬体増は影響しなくなるから。

;今井さんの解説も「逃げれば」ということで、やっぱりこれも本当に逃げたら万馬券でした。先週までは、「逃げたら中距離はきつい」という話でしたが、それは気になりませんでした?

;土曜が2400mは外独占だったけど、それ以外は前が残り始めたからね。それでJCで人気馬が全部内枠でしょう?これは内枠と先行有利になるということを意味している可能性が高い。ただ、今年は例年と違って特殊な馬場なんで、やっぱり日曜になるとインが荒れて外差し一辺倒になる可能性も半分近くはあると思ったけどね。半分の可能性なら、単勝12倍の「逃げられなかった逃げ馬」に対して、「外差し馬場なら怖い」なんて思うのも馬鹿げた話だから本命にしたけど。1800mの小回り福島使ったりとか、ここ数戦の活性化度合いを考えれば、騎手が自然にさえ乗れば、そのまま逃げちゃう馬だしね。Mで最強の、「逃げられなかった逃げ馬」。しかも、速い上がりも出せる馬だから、荒れたインにさえ閉じ込められなければ、前も残る馬場になればの話だけど、このメンバーなら逃げ切れちゃう可能性は結構高かったよ。

;重賞ですが、まず本命が勝って馬単当てた京都2歳Sはどうでした?この馬も今井さんの言うとおり、前に行かないで差したら勝ちましたが。

;これもルーラーシップ産駒で揉まれたくないから、外枠のハイペースはピッタリだよ。怖かったのは太めで出てくることと、前に行って乱ペースに巻き込まれて揉まれて嫌気が差すこと。で、当日は絞れてきたからまず一つクリア。ペースは速くもないけど一貫して流れたんで、2000mは外差しも利く馬場だったから後は楽だったね。レース前に、「和田、スタートで出すなよ!」って念を送っといたら(笑)、控えてくれたんで、もう揉まれる心配もゼロになった。終始ハイペースでもないのにずっと大外回ってたんで、「さすがにこれだときついかなぁ」って思ったけど、他の人気馬はみんな太いという凡戦で、そのまま差せちゃった。ルーラーシップ産駒で外も伸びる馬場だったから、あんなにずっと外を回っても、むしろ喜んで来ちゃったりもするわけだけど。1番人気含めた上位人気、特に4番人気はパドックで数字とは別にびっくりするほど太かった。さすがにあれで芝2000m重賞は無理だよ。あんな状態ならコメントで、「太いけど、それでも走れるんじゃないかなぁ」くらいは言ってあげないと、本命にした人はきついよね。それでも逃げちゃえば残したかもだけど、あの馬体で逃げないでしかも団子状態の展開では、キレが出ないぶん、どうしてもきつい。

;JCのカレンブーケドールは「絞れて欲しい」で2キロ増は、やっぱり太かったですか?

;前走が過去最高体重での叩き2戦目、C要素が強い、ステージ鮮度がないという状況だから、もちろん増えない方が良いに決まってるよ。ただ救いは、先行馬なんでパワーで押し切る展開なら、増えても相殺する可能性は高いということだった。実際僕も、増えたけど人気薄だし、混戦でしかも前も残る馬場なら3頭との差は全くない馬なんで、多少太くても前残りならなんとかなるかもって、予定より少し勝負度合い下げたくらいで、そのまま買ったよ。同馬向きの前残りで外差し不利の馬場だったしね。でも控えちゃったから。全ての要素が馬体増に対して、逆ベクトルになっちゃったね。

;それでも、接戦でわずかの差でしたよね~。

;他の3頭は良い仕上がりだったし、パドックでも明らかに3,4走前より太い状態で、重い感じで歩いていてもあの差だから、残念としか言葉はないよ。もし2キロくらい絞れてたら、3着以内は確実で、後はどこまでアーモンドアイに肉薄出来たのかだった。その世界を見たかったのにね。珍しくオールカマーの前の時点で既に、余程馬場が逆になったり前軽量が滅茶苦茶だったり、大外でない限りJCに出て来たらカレンブーケドールを本命にするだろうと思っていたし、3頭に勝てる自信も十二分にあったよ。だから、別に本命に対しての後悔は全くないね。ただ、凄く悔しいけど。今回のアーモンドアイは計算以上に強かったよ。きっちり、さっきのオリエンタル賞とかで後ろからどのくらい伸びるのか馬場を測っていたルメールも凄かったし。後ろでは間に合わない馬場を計算に入れて、しっかり前に出していったね。レースは、当日の馬場で確率ゼロになったと思った外枠の追い込み馬グローリーが前に入ってるし、カレンブーケドールは後ろだしで、どうなるかという感じだったけど、あの騎乗に応えたアーモンドアイが強かった。今回は単純にそういうことだったね。僕は強い断然人気に本命が負けても、他の人が言うような清々しいとかそういう気持ちには、全くならない。悔しさ以外は何の感想もないけど、ただ今回はアーモンドアイが計算より強かった。その事実には単純に感銘を受けたね。滅多にないことだけど、最後は名馬の走りだったから仕方ない。だからこそ、こんなにも大事なレースで、太く出てきたのは悔しい。増えてくるのが読めなかったのがいけないけど、やっぱり悔しさは残るね。見たかった、というか見ることになっていたはずの世界とは別のものが、既にレース前の時点で用意されていたわけだから、それはもう普通でいられるわけはないよ。あの馬体で差しに回って、あそこまで持って行けるんだもんね。・・・本当に悔しいな。

;ではでは、チャンピオンCのデータ分析にいきましょうか。昨年は日本テレビ盃1着後の2番人気クリソベルが勝ちました。ただこのタイプの登録はありませんね。2着には南部杯3着後の1番人気ゴールドドリームが来ました。今井さんはこの馬が本命で当てたわけですが、南部杯好走馬はどうなんですか?

;南部杯3着馬は、この馬の出走しかなかったのでなんともだよ。一応阪神だけど同じダート1800mで行われたジャパンカップダート時代も含めて見てみようか。それで3着以内で見てみると、6頭中3頭が3着以内になるね。来た3頭は6歳以内で、来なかった3頭は7歳以上。データが少ないから参考の話だけど、極端に生涯鮮度が落ちるとちょっと怖い感じだね。あと、来た3頭は今回2~4番手。つまり先行馬の延長というMの順ショックだった。来なかった2頭は逃げた馬が2頭と3角12番手の馬が1頭。極端な脚質過ぎると展開に依存しやすいから仕方ない部分はあるけど、正攻法の馬がベターな感じではある。それと来た3頭は2走前1着、来なかった3頭は2走前が2着以下。ストレスを跳ね返して来るわけだから、やっぱりダートらしくかなり勢いのある馬の方がベターかな。

;3着のインティは、みやこS15着後の3番人気でしたが、みやこS惨敗馬の登録はありませんので前年です。





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